ILOは“Review of annual report under the follow-up to the ILO Declaration on Fundamental Principles and Rights at Work”の中で次のように述べています。
“Restrictions on the right to organize of certain categories of workers, such as migrant workers…. , domestic workers …., workers in export processing zones (EPZs) …., workers in the public service …., agricultural workers …., or workers in the informal economy …. are not compatible with the realization of [the] principle and right [of freedom of association].”(「移民労働者(中略)、家庭内労働者(中略)、輸出加工区の労働者(中略)、公益事業に従事する労働者(中略)、農業に従事する労働者(中略)、インフォーマル経済で働く労働者(中略)、ある種類の労働者の団結権を制限することは、[結社の自由の]原則と権利の実現と一致しない。」)[1]
このような状況に直面した企業が取る対応としては、次の2つの方向性が考えられます。
1. 国内法で認められている最大限の範囲で労働者の権利を尊重するようサプライヤーに働きかけ、支援する
2. 他の使用者と連携し、該当の国際労働基準に沿って法律を改正するよう政府に働きかける[2]
1. サプライヤーに働きかけ、支援する
サプライヤーとの対話の機会を設けて、結社の自由に関する権利の尊重をなぜ重視するのかということや、法律で認められる最大限の範囲で労働者の団結権を尊重することがサプライヤーにとっても重要であり、恩恵をもたらすということを説明する、などの対応が考えられます。さらに、移民労働者が団結して自らの懸念を表明し、国内法に沿った形でサプライヤーと対話できるようにするために、サプライヤーが解決策を模索するのを支援するのも選択肢の1つです。
例えば、団体交渉に当たって労働組合の代表が必要になるとは限らず、任命された代表が労働者とその利益を真摯に代弁する立場にあれば問題ありません。また、労働組合が移民労働者を代表することが国内法により認められていなかったとしても、国内法に従って労働者の代表との団体交渉を実施できる可能性があります。具体的な助言については、国内の労働法に詳しい現地の労使関係の専門家にお問い合わせください。
2. 法律を改正するよう政府に働きかける
当事者同士が敬意を払いながら社内で効果的な対話を実施すると全ての関係者に恩恵をもたらすことが多く、双方が合意できる解決策の特定につながります。こうした対話は通常どのような法律の違反にも当たらないとはいえ、それだけでは結社の自由についての権利を尊重するという要件が達成されたことになりません。労働者や使用者の結社の自由に関する基本的権利の中核を成すのは自ら独立した組織を結成しこれに所属することであり、ILOはこのことが全ての加盟国で尊重されるよう推進しています。また、ILOは国内法の順守も推奨しており、国内法が労働における基本的原則や権利と矛盾している場合は、これに合わせて国内法を改正する方法について政府と対話の機会を設けることを使用者団体や労働組合に勧めています。組合の結成が認められていない状況は結社の自由の深刻な侵害に当たるものであり、ILOは労働者がこの権利を享受することを法律で妨げている国に対して法律改正を行うよう働きかけています。
さらに、自社の子会社が当該国で事業を展開している場合は、現地の使用者団体に参加してその国の政府と対話を行い、移民労働者を含むあらゆる労働者の結社の自由を尊重することが使用者にとって重要である理由を説明してはいかがでしょうか。この対話のプロセスは、結社の自由に関して国際労働基準に応じた法改正を行うことを政府に促す上で大きな効果を発揮すると考えられます。
[1] “Review of annual report under the follow-up to the ILO Declaration on Fundamental Principles and Rights at Work”, ILO, Geneva, 2008; GB.301/3, paragraph 36.
[2] 1948年の結社の自由及び団結権保護条約(第87号)、第2条。