ILOヘルプデスク:ビジネスと強制労働
2024年04月22日
「強制労働」に関する国際的な労働基準は、例えば、1930年の強制労働条約(第29号)や1957年の強制労働廃止条約(第105号)で定められています。1998年の労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言は、第29号と第105号を批准したかどうかにかかわらず、全ての加盟国に対して各国でこうした権利を推進し実現することを要請しています。
ILOは、この1998年の宣言や多国籍企業宣言を通じて、強制労働の撲滅に向けた取り組みの実施を企業に呼びかけています。事業を合法的に行っている企業であれば普通は強制労働に関与することはありませんが、請負事業者やサプライヤーなどの他企業との事業を通じたつながりから強制労働に関与する可能性があります。そのため、強制労働がさまざまな産業セクターやサプライチェーンにわたって行われる可能性があることや、その形態や原因を理解することが大切です。
強制労働とは、「処罰の脅威によって強制され、また、自らが任意に申し出たものではない全ての労働」のことです。処罰として使われるのは、監禁や暴行の脅しや実行、労働者の就業場所への拘束などです。また、巧妙な手口で脅す場合もあります。例えば、被害者の家族に害を加えると脅したり、不法労働者であれば当局に告発するなどと脅したり、また、「いずれ賃金を受け取れる」と期待させながら賃金を支払わずに、離職させないようにするケースもあります。
労働は自由意志に基づき提供されるべきものです。そして、合理的な期間をおいて事前に告知すれば、自由に仕事を辞めることができなくてはなりません。労働が自発的に行われているかどうかを判断するには、多くの場合、外部からの間接的な圧力の有無を見極めます。借金返済に充てる名目での給与の一部不払い、賃金や報酬の不払い、労働者の身分証明書の剝奪などが圧力の例です。
往々にして強制労働につながる慣行として、「債務奴隷」も挙げられます。これは、労働者(やその家族)が、自らの債務や相続した債務を返済するために強制的に働かされる場合を指します。被害者は、離職しようとしても捕らえられて強制的に連れ戻されます。労働者に対して賃金などの形で報酬が支払われていたとしても、強制労働ではないとは必ずしも言えません。
ILOの推計では、任意の1日をとってみた場合、2,760万人が強制労働の状態にあるとされています。強制労働の86%が民間で発生しており、商業的性的搾取を伴う業種を除くと63%です。被害者の大多数は無収入かほぼ無収入で、安全が確保されていない極めて劣悪な環境で長時間働かされています。多くは人身取引の被害者でもあり、たいてい国外から連れて来られています。強制労働はまさに世界的な問題であり、先進国でも、人身取引で連れて来られた移民労働者が強制労働の主な被害者となっています。女性も男性も被害者になり得ます。合計で330万人の子どもが強制労働に従事させられていますが、これは事例全体の約12%に当たります。
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