全般的な質問
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1981年の家族的責任を有する労働者勧告(第165号)では、「労働者を一の地方から他の地方へ移動させる場合には、家族的責任及び配偶者の就業場所、子を教育する可能性等の事項を考慮すべきである」との原則が定められています(第20項)。これは、企業における業務上の必要性と労働者や管理職の家庭のニーズとの兼ね合いを取るアプローチを奨励するものです。管理職を新しい勤務地に転勤させる際には、対象となる管理職の家庭における責任を合理的な範囲内で考慮することをお勧めします。
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「雇用や職業における差別」とは、人種、皮膚の色、性別、宗教、政治的見解、出身国、社会的出自、その他業務とまったく関係のない属性を理由に、特定の個人を労働市場や職場において下の立場、または不利な立場に置くようなビジネス慣行を指します。
差別的なビジネス慣行には直接的なものも間接的なものもあります。直接差別は、あからさまな区別や優先、排除が行われる場合に生じ、その理由は1つのときもあれば複数のときもあります。例えば、「男性限定」の求人広告は直接差別に当たります。
間接差別は、中立的に見えますが実際には一定の集団に属する者に負の影響を及ぼす状況や措置、慣行を指します。この種の差別はその性質上表に現れないため、対処が最も難しくなります。
機会と待遇が均等ならば、あらゆる従業員がその目標や希望に合った能力や技能を存分に伸ばすことができ、平等な雇用機会や労働条件を享受できるようになります。
雇用や職業における差別からの完全な自由を実現するためには、単に差別的なビジネス慣行を排除するだけでは不十分です。採用や雇用の継続、昇進や解雇に関する慣行、報酬、職業訓練の提供、技能開発も含めて、雇用関係のあらゆる側面において、職場における均等な機会と待遇を促進することも必要です。 -
さまざまな国際労働基準[1]で差別に当たるとして指定され禁止されている事由は次の通りです。
人種や皮膚の色による差別は、その大半が、客観的な根拠のない社会的・経済的要因に根差しています。特定の民族集団や先住民・種族民に対する差別が絡んでいることが一般的です。
性別による差別には、男女の違いである生物学的な特徴・機能や男女の社会的な相違点を理由とする区別が含まれます。身体的な理由としては、業務の遂行に影響しない身長や体重に関する要件など、職務遂行のために不可欠ではない要件の指定が挙げられます。社会的な理由による差別としては、民事上の身分、結婚歴、家庭の事情や妊娠が挙げられます[2]。性別による差別を受けるのは、特に間接被害ではたいていの場合女性です。
宗教による差別には、宗教的信条の表明や宗教団体への所属を理由とする場合などがあります。また、特定の宗教的信条を持っていないか、そもそも神の存在を信じていない人が差別を受けることもあります。宗教的信条を理由とした差別は認めるべきではないものの、職場では、労働者が特定の信仰を実践する自由を制限するような雇用条件であっても正当な根拠が存在する場合もあります。例えば、宗教によっては、法律や慣習で定められた休息日以外にも労働が禁止される日が設けられることもあります。機械を操作するのに安全性の確保が困難になるような、特殊な衣服の着用が要求されることもあります。食生活の制約や勤務中でも行わなければいけない日課のため、事業所として全面的に便宜を図ることができない場合もあります。または、職位によっては、宗教的信仰と相いれない宣誓が要求されることもあります。このような場合には、職務や業務を遂行する上で必ず必要になる要件を鑑みて、労働者が自分の信仰や信条を職場で十全に守る権利を検討する必要があります。
政治的見解による差別には、政党への所属や、政治的、社会政治的、道徳的なスタンスの表明、または市民活動への参加を理由としたものなどがあります。政治的活動を理由とした雇用における差別から労働者は保護されるべきですが、これは政治的な動機による暴力行為までは対象としません。
出身国による差別には、出生地、家系、本人や家系が外国出身であることを理由としたものなどがあります。具体例としては、民族的または言語的マイノリティー、帰化により市民権を取得した者や移民の子孫を対象とする差別などです。
社会的出自による差別は、社会階級や社会的・職業的カテゴリー、カーストを理由としたものを指します。社会的出自を理由として、特定の集団に属する人々をさまざまな職種の仕事に就けなくしたり、特定の職務に限定したりすることがあります。社会的出自による差別の被害者は、別の階級や社会階層に移動することができなくなります。例えば、世界の一部地域では特定の「カースト」が劣等と見なされ、最低基準の単純労働にしか従事できなくなっています。
年齢による差別も禁じられています。高齢の労働者はその能力や学習意欲が偏見を受け、経験が軽視される傾向があり、人件費がより低いことが多い若年労働者を求める市場圧力にもさらされているため、多くの場合、求職でも就労でも困難に直面しています[3]。
また、25歳未満の若年労働者も差別を受けることがあります。若年労働者への偏見に基づく待遇にはさまざまな形態があります。例えば、福利厚生や昇進の可能性、研修機会が少ない臨時雇用において若年労働者が占める割合が過剰に高いこと、生産性の低さを理由に賃金格差を正当化することが難しい低技能職種においても若年労働者の初任給は低いこと、さらには若年労働者には試用期間を長くすることや、柔軟な契約形態を採用するケースが圧倒的に多いことなどが挙げられます[4]。
HIV/エイズ:HIV感染者やエイズ患者は多くの場合に職場や地域社会で差別を受けています。HIVに感染している、あるいは感染が疑われるという理由で、労働者の差別やレッテル貼りを行うことがあってはなりません。採用選考でも、採用後も、HIV/エイズの検査は要求するべきではありません。HIV感染は解雇の正当な理由にはなりません。HIV関連疾患を抱える者にも、医学的に問題がない限り、適切な条件で働くことを認めるべきです[5]。
障害:全世界で、現役世代のうち約8億人が障害を抱えています。何も問題なく就労して社会にも完全に溶け込んで生活している人々も多い一方で、障害者全体としては、往々にして貧困や失業に直面する確率が高くなっています。このような現状では、障害を抱える労働者の特別な仕事上のニーズへの対応として積極的な措置を可能な限り講じることも、差別撤廃の取り組みの1つです[6]。
性的指向や性自認:男女を問わず、同性愛者、両性愛者、もしくはトランスジェンダー(身体の性と心の性が一致しない人)であるという事実、または疑いのために差別を受けることがあります。また、使用者や管理職、他の労働者から、言葉による脅しや暴力、心理的、身体的な脅しや暴力の対象になる場合もあります[7]。
家庭における責任を負う労働者:労働時間に関する近年の傾向を見ると、先進工業国、開発途上国や経済移行国のいずれにおいても、家庭における責任を負う労働者への圧力が強まっています。「家庭における責任」には、子どもやその他の被扶養者の世話が含まれます[8]。「家庭」の構成は幅広く、労働者本人または労働者代表と協議の上で定義を決めることも考えられます。家庭における責任を負う労働者は、往々にして採用や配置、研修への参加、昇進の際に差別を受けています。企業はそういった差別を防止するべきです。業務上の必要性を踏まえつつ、過度の長時間労働や、家族を世話する予定が立てにくい突発的な超過勤務、祝日出勤の要請は避けることが推奨されます。
労働組合への所属や組合活動:全ての労働者には、労働組合を結成してこれに加入し、また、労働組合の活動に組合員または指導者として参加する権利があり[9]、こうした権利を合法的に行使したという理由で差別を受けるべきではありません。
その他の理由:一般的に、労働における差別には「すべての差別、除外又は優先で、雇用又は職業における機会又は待遇の均等を破り又は害する結果となるもの」が含まれます[10]。
労働者は、業務を遂行する能力のみを根拠に選考されるべきです。企業は、本人の能力や業務に不可欠な要件とは関係のない特性を根拠として一部の求職者や労働者が不利に扱われることがないように、採用その他の雇用慣行の中に差別につながる要素が隠れていないか検証することが奨励されます。
[1] 1958年の差別待遇(雇用及び職業)条約(第111号)、第1条(a)。
[2] 詳しくは、2000年の母性保護条約(第183号)、2000年の母性保護勧告(第191号)、1981年の家族的責任を有する労働者条約(第156号)および1981年の家族的責任を有する労働者勧告(第165号)をご覧ください。
[4] 詳しくは、“Equality at work: Tackling the challenges. Global Report under the follow-up to the ILO Declaration on Fundamental Principles and Rights at Work”, (ILO, Geneva, 2007)の38ページをご覧ください。
[5] 詳しくは、「HIV/エイズと働く世界 ILO行動規範」をご覧ください。
[7] 詳しくは、“Equality at work: Tackling the challenges”の42~43ページをご覧ください。
[8] 詳しくは、“Equality at work: Tackling the challenges”の 77ページをご覧ください。
[9] 1948年の結社の自由及び団結権保護条約(第87号)、第2条、および1949年の団結権及び団体交渉権条約(第98号)、第1条。
[10] 1958年の差別待遇(雇用及び職業)条約(第111号)、第1条(a)。
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技能や努力に基づく区別は適法です。
教育年数や労働時間の違いを反映した報酬の格差も容認されます。
政府は雇用における機会と待遇の均等を拡大するために歴史的な差別の慣行を是正する措置(アファーマティブ・アクション)を実施することがありますが、企業がそういった方針を順守しても差別には当たりません。
健康や母性に関するものなど、国内法で定める保護・支援の特別措置も差別には当たらない重要な施策です。
均等待遇の原則に実効性を持たせるためには、特別措置だけでなく、例えば障害のある労働者における他の労働者との相違点への対応が必要になることもあります。
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ILO基準では、「固有の要件に基づく特定の業務についての差別、除外又は優先は、差別待遇とみなしてはならない」と規定しています[1]。しかし、この例外は制限的に解釈すべきです。
ILO条約勧告適用専門家委員会(Committee of Experts on the Application of Conventions and Recommendations)は次のように説明しています。“When qualifications are required for a particular job, it may not be simple to distinguish between what does and what does not constitute discrimination. It is often difficult to draw the line between bona fide requirements for a job and the use of certain criteria to exclude certain categories of workers.” (「ある特定の仕事に資格が必要とされる場合、何が差別に当たり、何が差別に当たらないのかを見極めるのは容易ではないこともある。本当にその要件が職務遂行に必要なのか、それともあるカテゴリーの労働者を排除するために特定の基準を用いているのかを判断することは往々にして難しい。」)[2]
どのような区別も客観的な根拠に基づいて決定されるべきであり、その労働者が所属する集団が持つとされる能力ではなく、個人の能力を考慮するべきです。技術の進歩により、女性などの小柄な人々が一切支障なく就労できる職業は数多くあります。パワーステアリングの装備により女性もトラックを運転できるようになり、自動化プラットフォームやフォークリフトなどの普及で、女性でも男性でも小柄な労働者を雇用できるようになりました。
そのため、多くの場合に問題となるのは業務の要件というよりも根強く残る偏見の方です。また、安全を守るためのルールは、体格や性別に関係なく全ての労働者のために必要です。この考え方は、例えばILOの“Safety and health in agriculture: ILO code of practice”では労働者の性別や体格に基づく区別がなされていないことにも反映されています。
[1] 1958年の差別待遇(雇用及び職業)条約(第111号)、第1条第2項。
[2] ”Equality in Employment and Occupation”, ILO, Geneva, 1996, para 118.
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“Protection of workers' personal data”では、ポリグラフ、うそ発見器、その他同様の検査方法は使用すべきではないとされています。
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労働における差別には、「すべての差別、除外又は優先で、雇用又は職業における機会又は待遇の均等を破り又は害する結果となるもの」が含まれます[1]。差別は、本人の能力や業務に固有の要件とは関係のない特性を理由として、一部の労働者が他の労働者よりも不利な扱いを受けていることを指します。
企業は、事業運営の全体を通じて差別撤廃の原則を尊重するべきです。職階の全体にわたって、労働者の採用や配置、訓練、昇進の決定における判断基準は資格や技能、経験と定めた上で[2]、サプライヤーもこれに倣うように奨励し支援するべきです。
政府は雇用における機会と待遇の均等を拡大するために施策を講じることがありますが、企業がそれに倣っても差別には当たりません。
1989年の原住民及び種族民条約(第169号)は、先住民が国内法令でその他の住民に認められている権利や機会の恩恵を平等に受けられるようにするとともに、先住民と他の国民との間に存在する社会経済面の格差を解消するための支援の実施を各国政府に奨励しています(第2条第2項)。
[1] 1958年の差別待遇(雇用及び職業)条約(第111号)、第1条(a)。[2] 多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言、第30項。
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雇用期間中だけでなく、採用時や退職時にも差別は起きることがあります。
一企業で差別が起こり得る状況
- 採用
- 報酬
- 福利厚生
- 労働時間および休息
- 有給休暇
- 母性保護
- 在職期間の保障
- 業務の割り当て
- 業績評価および昇進
- 訓練の機会
- 昇格の見込み
- 労働安全衛生
- 雇用の終了[1]
意図しない差別もあり、多くの場合、企業の経営者や労働者は差別的な慣行がないか調べて初めてその現状に驚くことになります。
差別には、直接的なものだけでなく間接的なものもあります。間接差別とは、中立的に見えますが、一定の特性を有する人々が実際には不平等な扱いを受けることになる慣行を指します[2]。例えば、勤務終了後の遅い時間に研修を行えば、参加したいと思っていても家族の世話があるため出席できない労働者が排除されてしまいます。研修がなかなか受けられなければ、のちのち業務の割り当てや昇進の可能性で不利な立場に置かれる可能性が高くなります。
[1] 1958年の差別待遇(雇用及び職業)勧告(第111号)。
[2] 詳しくは、“ABC of women workers’ rights and gender equality”, Second edition (ILO, Geneva, 2007)をご覧ください。
多様性のある労働力の強み
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競争が激化する中、多くの企業は効率を改善して利用できる資源は全て活用するために新たな方法を模索する必要があります。
生産がグローバル化するこの時代、企業には多様なバックグラウンドの人材が集い、往々にして出身国も異なる労働者が一緒に働いています。そういった中、機会均等の社風を備えた企業であれば、多様なチームの管理を行うことも容易になります。
市場がグローバル化するということは、性別、人種、民族、宗教、国籍、年齢、障害、HIV感染/エイズ発症などの点で多種多様な状況にある労働者を雇用する企業の方が、顧客のさまざまな期待やニーズを予測する上で有利になることを意味します。
労働力の構成が変わりつつある中、企業は従業員に関する長年の信条や方針を検証し改正することを迫られています。
また、ビジネス慣行から差別をなくすことは、効率性と生産性を高めるために重要な業務管理の方策だという認識が広まりつつあります。
何より重要なのは、公正な待遇を受けることはあらゆる企業が尊重するべき人権だということです。
企業は、従業員の多様なバックグラウンドを認めて評価し、仕事に最適な人材を引き寄せてその定着を図るとともに、機会均等を人事管理の中心に据えた方針とプログラムを策定するべきです。
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職場における平等と企業の業績との間に正の相関関係があることは一般的に認められています。雇用慣行における差別の撤廃が生産性と業績に及ぼす具体的な効果が明らかになっています[1]。
実証された相関関係
- 機会均等の実践によって生産性が向上する
- 従業員の中で差別を受けている集団の占める割合が大きいほど、機会均等の実践により生産性に大きな正の影響が生じる
- 以下の理由から、機会均等の方針が積極的であるほど、生産性に大きな正の影響が生じる
- 労働力の配分がより効率化し、人材の質と士気が高まることで、組織効率が改善する
- より客観的で体系的な選考基準を用いることで、従業員と業務の適合性が改善する
- 差別を受けている集団に属する従業員の士気が、次の点で大いに高まる。1)キャリア展望が良くなる、2)公平感が高まる、3)やりがいのあるプロジェクトを任され、創造性を発揮する機会が増える、4)差別を受けている集団を中心に離職率が下がる、5)作業環境におけるストレスが減ることで、従業員の健康、士気や尊厳が向上する。
また、従業員の参加により機会均等の実践がさらに進めば、生産性への影響はさらに増大するというエビデンスもあります。
[1] 詳しくは、“Corporate success through people” (Rogovsky and Sims, 2002)をご覧ください。
差別撤廃と平等を保障する企業方針の策定
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雇用における差別を撤廃するには
- 経営トップが固い決意で取り組みを進める(最高経営責任者が雇用の平等性に対する責任を負い、多様化に向けた取り組みを実践すれば、他の経営幹部、管理職や労働者に対する力強いメッセージになる)
- 自己評価アンケートなどを用いて、企業内で差別が生じていないかどうかを判定するための評価を行う
- 企業方針の策定により差別撤廃と機会均等の実現に向けた明確な手続きを確立し、企業内外に発信する
- 採用・選考担当者および管理職、経営者をはじめ職階の全体にわたって、差別撤廃への認識を高め行動を奨励するための研修を実施する
- 既成概念を打破するための継続的な意識啓発運動を支援する
- 目標を達成するための測定可能な目標や具体的な期間を設定する
- どのような改善が達成されたのかを正確に把握できるよう、進捗状況をモニタリングして定量化する
- 労働者の中で特定の集団の待遇や昇進に負の影響が及ばないよう、必要に応じて業務計画や配置、業務配分などを変更する(このとき、労働者が仕事と家庭における責任を両立できるようにするための措置も取るようにする)
- 参加者を最大限に増やすために日程調整を行うなど、技能開発のための機会が平等に与えられるようにする
- 苦情に対処し、訴えを取り上げるとともに、差別の事実が確認された場合は被害者に対する救済措置を実施する
- 機会均等の環境を構築するための地域社会における取り組み(成人教育プログラム、保健・保育サービスの支援など)を奨励する
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差別撤廃に取り組む経営幹部にとって、労働者は代表者を通じて最大の味方になり得ます。企業は、労働者の自由意志により選出された代表が参加する労使の組織を設置して、優先的に取り組む分野や戦略の策定と職場における偏見への対応を行うことを検討すべきです。労働者の代表が職場における差別撤廃の取り組みに参加することで、労働者が目標達成に向けて積極的に取り組むようになります。
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このヘルプデスクの内容は、国際労働基準で定められている原則を踏まえて作成しています。差別撤廃と平等を保障する企業方針を策定する際には、差別撤廃に関する国内法をご参照ください。また、差別撤廃の法律や実務に関する国内法令や労働協約については、国内の労使団体にお問い合わせください。
職場でのセクハラ(性的嫌がらせ)
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性別による差別には、セクシャルハラスメント(性的嫌がらせ、セクハラ)も含まれます。
雇用におけるセクハラに当たる不適切な行為は
- 雇用条件または採用に当たっての前提条件として当然のことと見なされている
- 業務の割り当てや昇進の機会などの決定に影響する
- 業務遂行に影響する
具体的には
- 服装、体形、年齢、家族の事情などに対する侮辱、不適切な発言、冗談、嫌み、または言及
- 人の尊厳を傷つけるような性的な意味合いを持つ、相手を見下した態度や恩着せがましい態度
- 相手から歓迎されない誘いや要求(はっきりとは口にしない場合や、脅しが伴う場合も)
- いやらしい目つきなどの性的関心を連想させる仕草
- 触る、なでる、つねる、暴行するなどの不必要な身体的接触
セクハラは特に悪質な差別の形態であり、一切容認しない「ゼロ・トレランス」の方針で対処すべきです。
報酬における差別
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雇用や職業に関連した差別撤廃の原則には、同一価値労働に従事する男性と女性の間で報酬を同一にするという原則があります[1]。
同一価値労働同一賃金の原則とは、報酬の金額や種類は従業員の性別ではなく遂行された業務の客観的評価に基づくべきであるということを意味します。
同一の報酬を得ることは、性別にかかわらず労働者が有する基本的な権利です。
しかし、性別による賃金格差は依然として根強く残っています。世界的に見て、女性の平均時給は男性の約75%です。この男女間賃金格差には複数の理由があります。高収入の部門や、高い賃金を支払う傾向にある大手企業では、女性は雇用される割合が低すぎるのです。同じ企業内でも、高収入の職種では女性が過度に少なく、女性労働者が圧倒的に多い職種は下位に分類されることが多いため、賃金も低い状況です。また、労働組合がある企業でも女性が雇用される割合は過度に低いです。女性の就労は、パートタイム労働や出来高制労働、派遣労働などの「柔軟」な仕事に集中しており、そういった仕事の賃金は低いのが一般的です。また、女性は超過勤務時間も男性より少なく、昇進において差別されていることも重要な要因です。
平等性の原則は、支払いが直接的か間接的か、金銭か現物支給かを問わず、基本給または月額給与、その他の基本報酬および手当を含む報酬のあらゆる要素に適用されます。
この原則を実現するための具体策[2]
- 職階制と給与体系は、労働者の性別に関係なく、客観的な基準(必要とされる学歴、技能および経験)に基づくものとする
- 全ての報酬基準のほか、労働協約、賃金・賞与体系、給与表、福利厚生制度、医療保障その他の付加給付において、特定の性別への言及は全て削除する
- 男女のどちらか一方の労働者が特定の職階や給与水準に集中する報酬制度・体系は検証して調整を行うことで、同一価値労働を異なる職階や給与水準の下で行うことがないようにする
- 報酬に不平等が生じていることが判明した場合には、必ず是正措置を講じる
- 業務の担当者ではなく業務自体の価値に基づいて賃金を決めなければならないということを、従業員に向けて、特に管理職と経営者向けの特別研修プログラムで周知する
- 経営幹部、従業員代表、特定の職場で不平等な職階制や賃金体系のために不利益を被っている女性労働者の間で、報酬の平等性に特化した交渉を行う
- パートタイム従業員と時間給従業員に、あらゆる種類の報酬において常勤の従業員と平等な基準で実働時間に従って支払う
- 業務内容、責任、技能、努力、労働条件および主な成果のみに基づいて業務の価値を評価する
[2] 詳しくは、“Promoting Equity: gender-neutral job evaluation for equal pay. A step-by-step guide”(ILO, Geneva, 2009)をご覧ください。
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ある業務を遂行するために不可欠な要件、つまりその業務に固有の要件に基づく区別、除外または優先は、差別と見なされません。しかし、この例外は制限的に解釈すべきです。ILO条約勧告適用専門家委員会(Committee of Experts on the Application of Conventions and Recommendations)では次のように説明しています。“When qualifications are required for a particular job, it may not be simple to distinguish between what does and what does not constitute discrimination. It is often difficult to draw the line between bona fide requirements for a job and the use of certain criteria to exclude certain categories of workers.”(「ある特定の仕事に資格が必要とされる場合、何が差別に当たり、何が差別に当たらないのかを見極めるのは容易ではないこともある。本当にその要件が職務遂行に必要なのか、それともあるカテゴリーの労働者を排除するために特定の基準を用いているのかを判断することは往々にして難しい。」)“Equality in Employment and Occupation”, ILO, Geneva, 1996, paragraph 118.
どのような区別も客観的な根拠に基づいて決定されるべきであり、特定の集団が持つとされている能力ではなく、個人の能力を考慮すべきです。技術の進歩により、女性が一切支障なく就労できる職業は数多くあります。パワーステアリングの装備により女性もトラックを運転できるようになり、自動化プラットフォームやフォークリフトなどの普及で、女性でも男性でも小柄な労働者を雇用できるようになりました。
そのため、多くの場合に問題となるのは業務の要件というよりも根強く残る偏見の方です。また、安全を守るためのルールは、体格や性別に関係なく全ての労働者のために必要です。この考え方は、例えばILOの“Safety and health in agriculture: ILO code of practice”では労働者の性別や体格に基づく区別がなされていないことにも反映されています。 -
ご質問には2つのポイントがあると思います。第1は個人(この場合は応募者)についての質問で、第2は応募者が提出した情報を検証する行為についての質問だと考えられます。
こうした対応の是非は、どのような情報を求めて確認するのかによって異なります。肩書や学位、企業などでの職務経験、年齢などの確認、および勤務の事実や勤務期間、担当業務などについての前職照会(どの事項もいずれにせよ応募者の履歴書に記載されている)を行うことは可能です。しかし、個人的な事項(政治団体や労働組合への所属など)について確認することは認められません。
第1のポイントについては、応募者に関する調査を行う際に何が認められ、何が認められないかは、国内法が定めることになります。こうした調査を禁止している国もあれば、一定の条件付きで認めている国もあるため、応募者に関する調査を行う際には事前に国内法の規定を念入りに調べなければなりません。
また、選考・採用プロセスにおける機会均等と、さまざまな職業に就く平等な機会も、念頭に置くべき極めて重要な点です。つまり、あらゆる応募者を平等に取り扱わねばならず、ある応募者について適用した基準は同じ形であらゆる応募者に適用しなければならないということです。詳しくは、「今こそ職場に平等を:仕事における基本的原則及び権利に関する宣言のフォローアップとしてのグローバル・レポート2003」をご覧ください。 -
トランスジェンダーの労働者については、実のところ国際労働基準でそれ自体は取り上げられていません。しかし、この問題について経営陣と話し合う際に、差別禁止に関する一般的な条項が役に立つかもしれません。
労働における差別には、「すべての差別、除外又は優先で、雇用又は職業における機会又は待遇の均等を破り又は害する結果となるもの」が含まれます[1]。差別は、本人の能力や業務に固有の要件とは関係のない特性を理由として、一部の労働者が他の労働者よりも不利な扱いを受けていることを指します。性自認は通常、本人の能力や業務に固有の要件とは関係ありません。企業は職階の全体にわたって労働者の採用や配置、訓練、昇進の決定における判断基準を資格や技能、経験のみに定めて、さらにサプライヤーもこれに倣うように奨励し支援するべきです。
[1] 1958年の差別待遇(雇用及び職業)条約(第111号)、第1条(a)。
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