雇用集約型基盤構造計画

ILOとドイツの視察団がベイルートで爆発後のがれき除去作業に従事する労働者らの活動を視察

2020年09月08日

 2020年8月4日にレバノンの首都ベイルートで発生した爆発は約190人の命を奪い、首都全域で家屋や企業に破滅的な損傷を与えました。ILOは爆発から数日も経たないうちに、爆発後に大いに必要とされている収入を提供し、生計手段の回復を手助けすることを目指してドイツ開発銀行(KfW)経由でドイツ政府から任意資金拠出を受けて進められていた雇用集約型基盤構造計画(EIIP)を通じてレバノン人とシリア難民の両方を対象に、がれき除去作業の短期就労機会を創出しました。既に約200人がこの人間らしく働きがいのある仕事に従事しています。就労者の15%が女性です。

 この度、フランク・ハゲマンILOアラブ総局長代理とアンドレアス・キンドル在レバノン・ドイツ大使が爆発の被害が大きかった地区を視察し、がれき除去作業に従事している労働者らから話を聞きました。計画に参加する労働者の多くが以前から職がなかった人々であり、最近レバノンを襲っている複数の危機によって経済的な脆弱性が一層深刻化していました。ILOの活動には「移動を強いられた人々と受入社会の展望改善に向けたパートナーシップ(PROSPECTS)」の下、オランダ政府からも追加資金が拠出され、介入事業の規模を拡大し、より多くの脆弱な労働者に手を差し伸べる助けになりました。開発パートナーであるこの両国政府の支援の下、レバノンとその住民のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)のニーズを満たす助けになるものとして、引き続き雇用を促進し、生計手段の再建・回復を図る予定であるとハゲマン総局長代理は語っています。

 キンドル大使は雇用集約型基盤構造計画の下で展開していた支援と資金を爆発現場に近い地点に振り向け、労働者のがれき除去作業が既に30日余りに及んでいるといったILOの迅速な対応を大いに評価しました。さらに、現場でレバノンとシリアの民が一緒に働いているところや女性が比較的高い割合で働いていることを目撃した大使は、「非常に良いこと」と感想を述べています。

 ILOは爆発対応活動において、レバノンとシリアの脆弱な人々に即時の短期就労機会を創出することに加え、若者を中心に見られる高い失業率などの同国労働市場の構造的な課題に対処することにも重点を置いてディーセント・ワークの取り組みを促進しています。労働者を監督するチームリーダーの1人であるクタリグ・ガラベディアンさんは、働いていない多くの若者が参加して除去作業を手伝うよう勧められたことを紹介し、「ここでは若い男女が協力し合って一緒に働いています」と説明しました。8年前に家族と共にシリアからレバノンに逃げてきたモハマド・ムサ・アル・イブラヒムさんは、長男で唯一の働き手として、「この仕事が本当に必要だった」と告げ、仕事を見つけられてうれしいとの感想を述べています。

 ILOはまた、新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行と経済危機によって既に苦境に陥っていたものも多い零細・中小企業の爆発後支援の道を模索しています。考えられる選択肢としては、企業の再建と将来的な危機及び経済的ショックに対する耐性強化を可能にする現金助成や技術的な支援などを挙げることができます。

 労働省及び社会省との緊密な調整の下で実施されているEIIPは、基盤構造工事を通じてシリア難民とレバノンの受入社会の人々の両方に短・中期の人間らしく働きがいのある就労機会を創出しています。プロジェクトの中心には現地の資源を基盤とした科学技術、そしてディーセント・ワークとジェンダー主流化の諸原則が置かれています。

 オランダ外務省の任意資金協力を受けるPROSPECTSは、ILO、国際金融公社(IFC)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連児童基金(UNICEF)、世界銀行が参加する4年間のグローバルなパートナーシップとして、強制避難危機対応における新たなパラダイムの開発を目指しています。レバノンではILOを始めとする複数機関によるシリア難民危機対応としての、シリア難民と受入社会の両方を対象とした経済機会と人間らしく働きがいのある就労機会の促進、技能開発、起業家精神育成、社会的保護といった活動の一部として実施されています。

 以上はILOアラブ総局によるベイルート発英文記者発表の抄訳です。

Related content

ベイルートで爆発後のがれき除去作業を支援する人間らしく働きがいのある仕事をILO事業で創出

レバノンの雇用集約型投資計画

ベイルートで爆発後のがれき除去作業を支援する人間らしく働きがいのある仕事をILO事業で創出