ILO-日本生活協同組合連合会(JCCU)共催

第9回アフリカ協同組合リーダーによる来日視察研修 参加者の感想

2019年03月04日

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国際労働機関(ILO)は、協同組合ユニット(ILO/COOP)と駐日事務所を通じて、日本生活協同組合連合会(日本生協連)との共催のもと、アフリカの協同組合リーダーによる来日視察研修を2010年から行っています。この研修は、日本とアフリカの協同組合が持つ知見と経験を互いに学ぶことを通して、両者の協力関係を深めることを目的としています。

9回目となった今回の研修は、フランス語圏アフリカからの参加者を対象として、2018年10月15日~24日に東京および周辺都市で開催されました。前回までの研修では、英語圏アフリカの国からの参加者が多かったことから、今回はフランス語圏アフリカの国に参加者を限定した初めての試みとなりました。ILO協同組合ユニットは、研修の感想や、学んだことを今後どのようにアフリカの協同組合の発展に活かしていくのかについて、3名の参加者に聞きました。

ラドファン・シュイヒー氏は、チュニジアのテストゥール地方にある、ロメナ(ざくろ)農業サービス共済組合(SMSA)の理事長です。長年にわたり、チュニジアの農業セクターの生産性と収益性の改善に努めてきたシュイヒー氏は、種子・特定植物中央協同組合(CCSPS)での経験を経て、2018年に約50名の農家とともにSMSAを設立しました。

今回の視察研修を通じて、シュイヒー氏は、日本において協同の精神が確立しており、協同組合第6原則「協同組合間協同」が協同組合の活動に深く根付いていることが印象に残ったと述べています。また、農業、金融・保険、小売・卸売、医療・介護サービスといった日本の協同組合の多様な事業展開は、現在、農業のみに集中しているチュニジアの協同組合にとって大きな発見でした。さらに、日本の協同組合が、社会面・環境面への配慮を戦略や活動に組み込んでいる点にも関心を持ちました。シュイヒー氏は、この研修を経て、チュニジアのほかの協同組合との協力関係を強化したいと考えるようになりました。その候補の一つが、2015年にチュニジアで初めて設立された消費者協同組合です。同組合は、創設者が2009年に国際協力機構(JICA)の研修を通じて日本の消費者協同組合を視察したことがきっかけで設立されました。

コブナン・モーリス・コフィ氏は、コートジボワールのコートジボワール綿花セクター生産者協同組合連合会(FPC-CI)で事務局長補佐を務めていて、シュイヒー氏同様、農業セクターに従事してきました。コフィ氏は、学生時代に米・トウモロコシ・カカオなどを扱う生産者協同組合を訪れた際に、資源の共有や協同を通じて自助や相互扶助、コミュニティ開発を促進する上で、協同組合が大きな可能性を秘めていることを感じたといいます。その後、生産者協同組合に関する研究や行動計画の策定支援に携わり、2016年にFPC-CIでの勤務を開始しました。コフィ氏は、協同組合は連合会組織を通じ適切に組織化されれば、多くの富や雇用を生み出す経済の原動力になると確信しています。本研修における日本の様々な分野の協同組合との交流を通じ、協同組合が果たすそのような役割について再認識したといいます。

同時に、障害のある人を雇用する消費者協同組合のエコセンター(廃棄物リサイクル施設)等への訪問を通じて、協同組合が社会・環境面で果たす役割についても新たな知見を得ました。コートジボワールへの帰国後は、本研修で得た知見について、ほかの協同組合員と共有するためのイベントを行う予定です。また、新たな雇用の創出や組合員の収入改善、コミュニティへの基礎サービスの提供を実現するために、コートジボワールの協同組合ビジネスの連携と多様化を図るための行程表を作成したいと考えています。


ジョセフ・アラン・エッガ・ビンガン氏は、カメルーンのマトン社会的連帯経済地域ネットワーク(RELESS)の理事長として、協同組合と社会的連帯経済(SSE)の開発に取り組んでいます。共同開発のためのフランス=アフリカNGOパートナーシップ(PFAC)では、SSEに関する専門家も務めています。エッガ・ビンガン氏は、1992年法第6条に基づき、トウモロコシと胡椒の生産者の共同イニシアチブ・グループ(CIG)を結成しました。2010年に、協同組合法に関するOHADA統一法がカメルーンで批准されたことをうけて、同グループを農業協同組合に改組しました。

その後は、協同組合の価値や原則に基づき、この新たな協同組合法制を推進するため、PFACとのパートナーシップを結びました。PFACは、2012年(国際協同組合年)にカメルーン政府とSSEに関する体系的な体制構築に関する協定を結んだNGOであり、同国の374の地方自治体におけるRELESS設立を通じて、地域コミュニティーの能力強化を支援してきました。

エッガ・ビンガン氏は、地元産品のマーケティングを支援する消費者協同組合や、労働組合や消費者協同組合の組合員が相互扶助・自己資金調達のために設立した労働金庫など、日本の協同組合の事業の多様性が参考になったといいます。また、日本の協同組合活動の父である、賀川豊彦の人生と功績に関する資料を展示する賀川豊彦記念松沢資料館では、協同組合モデルに根付く共通の価値観から大きな刺激を得ました。エッガ・ビンガン氏は、視察研修の最終日に行われたILOと日本協同組合連携機構(JCA)による共同公開セミナーにおいて、日本の協同組合関係者やカメルーン、チュニジア、コートジボワールの各国在京大使とアフリカの協同組合の経験について共有し、ともに議論する機会を得られたことについて、謝辞を述べました。帰国後は、本研修で得た知見を、カメルーン国内の協同組合やSSEのパートナー組織(地方開発を支援する省庁、政府機関、外交関係者、国際機関など)と共有するためのワークショップを首都ヤウンデで行う予定です。また、374の地方自治体および中央アフリカにおいて、知見を共有し、連携を強化するための視察研修を行うことも検討しています。

ILOは、協同組合ユニットと駐日事務所を通じて、JCCUおよびJCAと引き続き協力し、これまでの視察研修参加者のネットワークを強化するとともに、国際的サプライチェーンにおけるディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の推進など、アフリカと日本の協同組合の協力に基づき「協同組合間協同」の原則を実践していきます。

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