G20ブエノスアイレス・サミット

仕事の未来に備えるに当たり、人を第一に据える必要性を強調する首脳宣言

2018年12月05日

 2018年11月30日~12月1日に開かれた主要20カ国・地域(G20)のブエノスアイレス・サミットで採択された首脳宣言は、仕事の未来や開発インフラ、持続可能な食の未来、G20諸国の政策課題の全体にわたるジェンダー主流化戦略などの重要な事項を含んでいます。会合に参加したガイ・ライダーILO事務局長は、すべての人のために機能する仕事の未来に向けた道を指し示すものとして、この宣言を歓迎しました。宣言は、技術変化の恩恵が幅広く共有されるよう調整のとれた政策対応と国際協力を呼びかけています。

 初日に開かれた第1セッション「人間を中心に据える:世界経済、仕事の未来、女性のエンパワーメント」で発言したライダー事務局長は、2017年の世界の実質賃金上昇率が2008年以降最低水準のわずか1.8%に留まったこと、世界の男女賃金格差は約19%になること、世界の失業率は相変わらず高く、G20諸国合計で今日、1億1,400万人近い失業者がいると推定されることといった懸念すべき雇用情勢を示した上で、雇用と賃金の成長や企業創出を支える矯正措置が講じられない限り、この状況は2020年まで続くと思われることを指摘しました。その上で、仕事の未来を正しく形成したとしたら、持続可能なディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の機会を皆に提供するような、私たちの望む未来が達成できようと説きました。

 そのために必要な措置として、事務局長は、労働市場関連機構・制度の強化、変化する市場のニーズに合わせた技能訓練、より一層の男女平等の達成の3点を挙げました。また、来年1月22日にILOは創立100周年を公式に開始すると同時に、仕事の未来世界委員会の画期的な報告書を発表することを紹介し、その提案事項の検討を首脳らに要望しました。

 ライダー事務局長は、12月1日に開かれた第3セッション「様々な機会の活用:インフラ、エネルギー転換、持続可能な食料の未来」でも発言し、「環境を保護しつつ人間らしく働きがいのある就労機会を創出できる機会は多大に存在する」として、社会面の懸念事項と環境面の懸念事項を一緒に取り上げることとした議長国アルゼンチンの試みを歓迎しました。そして、パリ協定の目標値達成に向けた政府の積極的な政策によって、世界全体で正味で1,800万人分の人間らしく働きがいのある仕事を創出でき、リサイクル、再利用、再製造、修理を奨励する循環型経済を受け入れれば、さらに600万人分の雇用が創出できる可能性があることがILOの調査研究から示されていることを紹介しました。

 第1回会合から10年を数える第13回目の首脳会合の議長を務めたアルゼンチンのマウリシオ・マクリ大統領は「G20の本質は違いを尊重する対話を促進すること」と説いて、「今後10年間の合意を形成する対話」に焦点を当てることを出席者に奨励し、「私たちは一緒になって、責任を分かち合い、男女平等に向けた強い公約を伴い、多様性によって結ばれた開発の地平を設定できるとの明確なメッセージを世界に発信しよう」と呼びかけました。

 2018年9月に開かれたG20労働・雇用大臣会合で採択された「包摂的かつ公正で持続可能な仕事の未来のための機会の醸成」と題する宣言は、革新的な技能政策の促進、社会的保護の強化、労働市場の公式化を通じたその公平性、包摂性の向上に向けた公約を再確認しています。サミットは大臣会合の宣言に沿って、「仕事の世界における現代の奴隷制、人身取引、強制労働、児童労働の根絶に向けたG20戦略」を承認し、障害者の労働市場参加の促進を約し、女性が平等にデジタル経済に参加できるようにする必要性を認めました。

 アルゼンチンはサミットに至る今年1年間を通じて、G20諸国の使用者団体が参加するビジネス20(B20)と労働組合が参加する労働20(L20)を含む幅広い関係者から意見を聴取しました。ライダーILO事務局長は、「私たちが望む仕事の未来の形成は政府だけでは達成できない」として、「人々、使用者、労働者を第一に据える仕事の世界を形成する上で企業と労働組合は決定的に重要な役割」を演じるであろうことを強調しています。

 来年のG20会合は日本で開催されます。

 以上はブエノスアイレス発英文記者発表の抄訳です。

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