社会的保護の土台グローバル・ビジネス・ネットワーク
主導的多国籍企業が社会的保護の重要性を強調
2017年10月24日
社会保障の促進に専念する企業連合体として2015年に誕生したILOの「社会的保護の土台グローバル・ビジネス・ネットワーク」には現在50以上の企業が参加しています。2017年10月24日にジュネーブのILO本部で開かれたネットワークの第3回年次会合では、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた企業の公約と従業員補償に係わる最近の動向に関する話し合いが行われ、新興市場の成長を刺激し、消費を促進するには、各国の社会的保護制度とその土台に十分な投資を行うことが決定的に重要であることが明確にされました。
開会挨拶を行ったデボラ・グリーンフィールドILO政策担当副事務局長は、「貧困を削減し、世帯所得を増加させる社会的保護は、国内消費を後押しし、新たな製品・サービスに向けた機会を解き放つ」として、「社会的保護への投資は企業成長のまたとない機会」であることに注意を喚起しました。
フランスの化粧品会社ロレアル、フランスの巨大小売業者オーシャン及びカルフール、中国の自動車メーカー吉利汽車、イタリアの石油・ガスグループのエニ、スペインのデパートチェーンのエル・コルテ・イングレスなどを含む参加企業は、営業拠点を置く国々で社会福祉の制度を構築し、従業員のみならず社会の他の構成員も支援する機会に焦点を当て、父親給付の拡充などの才能ある人々を引き寄せ、離職を食い止める新たな努力や仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)を促進する取り組みに関する情報交換を行いました。さらに、いわゆる、「社会的保護のビジネス的根拠」と呼ばれるところの社会的保護が提供する所得保障と企業競争力が経済成長との間に有するつながりを探究する調査研究事業の重要性が強調されました。そして、その関係性をより良く理解し、社会的保護制度の発展を支えるために企業が講じることができる明確な措置を特定するには、さらなる活動が必要なことが指摘され、重要な知識不足を満たすものとして現在進行中の幾つかの協同事業についての説明が行われました。例えば、中国・吉利汽車グループに属する三亜大学のチェ・ゾエ副学長は、同大学の主導する調査研究が社会的保護と企業業績に関する知識の発展に大いに寄与する可能性を紹介し、「究極的に、社会的保護を支持する強いビジネス的根拠は、より包摂的な開発を促進する」と指摘して、企業の社会保障制度と才能ある人々の離職防止の関係性に関して現在存在している信頼のおけるデータの不足を埋めることが決定的に重要と説いています。
ILOは民間セクターの支援も受けながら各国の社会的保護制度の整備を支援していますが、「社会的保護の土台グローバル・ビジネス・ネットワーク」がその一部をなしている「すべての人のための社会的保護の土台構築計画」は、ILOの基幹的事業計画の一つとして、各国の住民及び市民に少なくとも必要不可欠な保健医療と基本収入の保障を確立することを目指し、老齢年金、失業及び労働災害に対する保護、母性給付その他の家族給付などの給付分野を推進しています。2016年に活動を開始したこの事業計画は、SDGsの達成目標年である2030年までに対象国で新たに4億人にこのような給付の提供を実現することを目指しています。
国連は社会的保護を優先事項に掲げて貧困根絶及び経済的不平等の縮小に取り組むSDGsの達成に向けて民間セクターを含む幅広い連携を繰り返し呼びかけています。会合の中で、ロレアルのベルトラン・ド・センネビユ・グローバル人材担当副社長が行った「経済成長なしに社会進歩はなく、社会進歩なしに経済成長はない」との発言に示されるように、「社会的保護の土台グローバル・ビジネス・ネットワーク」の参加企業は、SDGsに定められている、より大きな社会開発・経済発展の諸目標の達成に向けてますます関与を強めていく用意があるように見えます。
Related content
ビジネスと社会的保護
ILO社会的保護の土台グローバル・ビジネス・ネットワーク新設