ビジネスと社会的保護
ILO社会的保護の土台グローバル・ビジネス・ネットワーク新設
2015年10月28日
ILOはこのたび、各国の社会的保護の土台の整備を促進することができる企業の事業計画に関する好事例の共有・探究を希望する多国籍企業、使用者団体、民間財団などの参加を世界中から募る「社会的保護の土台ILOグローバル・ビジネス・ネットワーク」を公式に開設しました。ネットワークは、1)自社の従業員に保護を提供する企業が企業間の経験交流・相互学習を通じて公的社会的保護制度をもってこの保護を提供できる程度を確定し、2)企業が系列企業・子会社なども含み、提言広報その他の活動を通じて公的社会的保護制度の実施を支援できるようになることを目指しています。
現在、世界人口の73%近くに十分な社会的保護が適用されていません。多くの企業が企業別年金や民間団体保険の形で自社の従業員に高齢、傷病、障害、妊娠・出産などの際の保護を提供していますが、強く効果的な公的社会的保護制度が国に存在すれば、保護に必要なコストを均衡させることができます。
ILOの調査研究からは、大半の途上国が社会的保護の土台を負担できること、そしてうまく設計した場合、持続可能な形で国内資金を通じて財源を確保できることが示されています。また、社会的保護は企業の競争力を支え、欠勤率の低下、生産性の向上、労働者の離職率の低下をもたらすことも示されています。社会的保護はさらに、貧困や排除、脆弱性、不平等の低減に寄与するだけでなく、所得増を通じて商品やサービスに対する総需要を押し上げる働きもあり、これは民間企業に新たな商機を形成する可能性があります。
10月28日にジュネーブのILO本部で開かれたネットワークの発足式典において、ガイ・ライダーILO事務局長は、社会のために十分な社会的保護が存在することを確保し、必要な保護を計画・組織し、時には財源を負担することは究極的には国家の責任事項であることを明らかにした上で、各国に適した社会的保護の土台の促進・実現を図る上で企業は相当の役割を演じることができると強調しました。さらに、社会的保護に関して現在存在する巨大なギャップは、人権の視点から許容できないだけでなく、経済や社会開発の観点から見ても機会の損失であるとして、ネットワークに参加することによって、企業がこのメッセージをビジネス社会内外に流布する助けになってくれることへの期待を述べました。
2012年の社会的な保護の土台勧告(第202号)は、社会的保護の土台を、「貧困、脆弱性及び社会的な排除の防止または軽減を目的とする保護を確保するものとして、各国で定義する基本的な社会保障の全体」と規定しています。
* * *
以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。