児童労働

イラクで最悪の形態の児童労働をなくすためにILOとRDPPが提携

2020年07月28日

 ILOは2019年12月に、イラクでディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を実現するために2019~23年ディーセント・ワーク国別計画を同国政労使と締結しました。この計画の下、四者は雇用促進、就労に関わる権利、社会対話、社会的保護に関する同国のイニシアチブを協働して支援しています。活動の中には、児童労働に対処する実効的な枠組みの策定も含まれていますが、この度、イラク国内のシリア難民、国内避難民、脆弱な受入地域社会の中で見られる最悪の形態の児童労働の問題に対処するため、ILOは「レバノン、ヨルダン、イラク対象欧州地域開発・保護計画(RDPP Ⅱ)」と提携することとしました。

 何年にもわたる紛争、避難、基盤構造破壊の結果、イラクの子どもたちは児童労働に陥りやすくなっており、2018年の調査では5~17歳の子どもの約7%が危険で搾取的な労働を含む様々な形態の児童労働に従事していることが明らかになっています。

 チェコ共和国、デンマーク、欧州連合(EU)、アイルランド、スイスが参加する欧州共同事業であるRDPP Ⅱの支援を受けて、政府との緊密な調整の下、数多くの地元市民団体や他の在イラク国連機関と連携してILOが実施するこの予算255万9,175ユーロ(約3億2,000万円)のプロジェクトは、現に最悪の形態の児童労働に従事している子どもやその危険がある子どもに加えて家族も対象にし、同国における児童労働の根本原因に対処する持続可能な解決策を見出し、保護を強めることを目指しています。

 ILOは国内パートナーと緊密な協働体制を築いて、現に児童労働に従事している子どもやその危険がある脆弱な子どもを特定し、必要な支援が受けられるよう関連する行動主体に紹介する児童労働モニタリングシステムを試行します。また、若者による児童労働の理解と啓発を促進する助けになるものとして、世界中で教育者に用いられているILOの「教育、アート、メディアを通じた子どもの権利の支援(SCREAM)プログラム」などの特別に設計された公式・非公式教育の機会が脆弱な子どもに開かれることを確実にします。就労の最低年齢を上回る兄姉や保護者については、職業安定事業や生計手段、非公式な見習い実習の機会を支援することによって生活力の強化を支え、誤った対処メカニズムに頼ることの回避を目指します。

 政策レベルでは、脆弱な子どもと家族を最悪の形態の児童労働からより良く保護することを確実にするために、労働・社会省を含む政労使と緊密に協議して反児童労働国家行動計画の策定を図ります。イラクは「1973年の最低年齢条約(第138号)」や「1999年の最悪の形態の児童労働条約(第182号)」といったILOの条約に加え、国連の「児童の権利に関する条約」など、児童労働との戦いの中心に位置するこの分野の重要な国際条約を全て批准しています。

 ビンセンツォ・スキアノ・ロモリエリョRDPPプロジェクト・マネジャーは、ILOとのパートナーシップが目指すものとして、政府機関と地元の専門非政府組織(NGO)が児童労働の推進要素に共同で対処することへの支援であることを挙げ、この手法は、「児童労働をより効率的に抑える地元基盤型の解決策の試行だけでなく、政策の枠組みが子どもをさらに守るよう確保する戦略の設計においてもパートナーの関与を奨励するもの」であると説明しています。

 マハ・カッターILOイラク調整官は、紛争や貧困を含む様々な理由によってイラクでは児童労働が長く問題であったことを挙げ、関係当事者全ての協調努力を通じて脆弱な子どもの特定、児童労働からの引き離し、適切な行動主体への紹介、社会復帰を円滑化するためには、「効果的な児童労働モニタリングの仕組み」が決定的に重要と指摘しています。そして、「この国における児童労働撲滅に向けた私たちの取り組みを後押しするこの他の介入事業に加え、このような仕組みの導入を確保するために」RDPPと協働できることへの喜びを表明しています。

 以上はILOアラブ総局によるバグダッド発英文記者発表の抄訳です。

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