移民/難民

頭脳流出を食い止める:移民・難民の技能向上

 ヨルダンで実施されているこのILOのイニシアチブは、移民及び難民が既に有する技能の認定を受け、新たな技能を学ぶのを助けています。これは当人だけでなく受入国にとっても「頭脳利益」になります。

2018年12月07日

 あらゆる種類の労働者にわたって人の移動が見られ、国際的な難民・移民は急成長を示しています。最近発表されたILOの報告書によれば、2013年に1億5,000万人を数えた移民労働者数は2017年現在、9%増えて1億6,400万人に達したと推定されます。

 「移民が自らの能力を下回る職に就く『頭脳浪費』ではなく、関係国にとっての『頭脳利益』となるよう、移民当人のみならず、送出国、受入国にとっても利益の最大化を確保する必要があります」と、ILO技能・就業能力部のスリニバス・B・レディー部長は説いています。移民及び難民の社会及び労働市場への統合が成功すれば、有する技能が活用されない状況を防止し、脆弱性を縮小し、才能を活用し、地元経済や企業の育成を支える二者両得の状況がもたらされます。これを達成するためには移民の教育訓練を強化する必要があります。これは訓練機関が技能ニーズについてより良く理解し、訓練プログラムの対象を効果的に定めることができるよう、送出国と受入国の両方の労働市場について知っている必要があることを意味します。これは国際的な流動性を円滑化するだけでなく、母国の雇用成長にも寄与します。

 外国の資格の認定も重要です。一つの国で通用する技能を得ても他の国の労働市場に入るには不十分な場合が多いものの、労働者の技能が認定されないと、その脆弱性や差別が増し、公式の労働市場に加わるのがますます困難になる可能性があります。

 例えば、ILOがヨルダンで支援する「事前学習認定(RPL)イニシアチブ」は、シリア難民とヨルダン国民の両方を対象に、非公式(インフォーマル)経済で得たものも含み、既に保有する技能及び専門知識を評価し、正式に認定することによって、難民がより公式(フォーマル)な労働市場に参加することを許しています。同じくらい重要なこととして、このプログラムは訓練要素も含んでおり、建設労働者に短期の実践研修及び理論学習を提供することによって、既存の技能のグレードアップや労働安全衛生に関する知識の向上を助けています。

 プログラムの受益者の1人であるアブード・アルマスードさん(45歳)はシリアの戦闘を逃れ、難民としてヨルダンにやってきました。母国ではタイル工として建設産業で働いた経験がありましたが、当初は他の多くの難民同様、非公式な就労で生計を立てなくてはなりませんでした。このような不安定な地位では、とりわけ建設業のように危険が内在する産業において、安全なディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を見つけるのは困難でした。その後、ILOの支援によって就労許可を取得する手続きが緩和されたため、他の同僚たちと共に地位を合法化し、RPLプログラムを通じて新たな技能を学んだアルマスードさんは、公式の労働市場で「既に学んだ専門知識と技能を用いて」他の労働者と平等に競争することができました。今は現場監督を任され、建設現場の進捗状況や労働品質を点検しています。

 技能に関する国境を越えたパートナーシップも必要です。これは個々の移民を手助けするだけでなく、送出国と受入国双方で移住利益を最大化することにもなります。これ以外にも、グローバルレベルで各国の取り組みを統一し、技能ニーズに配慮し、これを先読みし、移民の教育訓練を受ける機会を広げ、技能の相互認定や多国間認定を強化するような移住政策の策定に向けた幅広い国際協力が必要です。2018年12月10~11日にマラケシュで開かれる政府間会合で採択が見込まれる「安全で秩序ある正規移住のためのグローバル・コンパクト」は、正にその方向に向けた一歩を表す法的拘束力のない協力的な枠組みです。この文書は移住の問題は一国だけでは取り組めないとの事実を認め、この問題に関する国際協力の向上を目指しています。グローバル・コンパクトは、送出国、経由国、受入国の個人及び地域社会のリスクや課題に取り組みつつ、人の移動の全体的な利益の最適化に必要な包括的な取り組みを認めています。

 以上は2018年12月7日付のアンマン発英文広報記事の抄訳です。

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