世界ユース技能デー
学業の機会喪失をばねとして新たな学習段階に到達したイマンさん
ILOなど複数機関が関与する事業計画ERRYJP IIは、イエメンの数百人の脆弱な人々にライフスキル、基礎的財務管理能力、理論指導、OJTを提供し、持続可能な収入を確保する手立てを備える助けを提供しています。
2021年07月14日
ILOが欧州連合(EU)及びスウェーデン国際開発庁(SIDA)の資金協力を受けて、国連食糧農業機関(FAO)、国連開発計画(UNDP)、国連世界食糧計画(WFP)と共に、ハッジャ、フダイダ、ラヒジュ、アビヤン、タイズ、サナアといった、イエメンの六つの脆弱な県で展開している3年間の事業計画「イエメンにおける強靱な生計手段と食の安全保障の支援第2期合同計画(ERRYJP II)」は、持続可能な生計手段の創出と基本サービスへのアクセス改善を通じて危機の影響を受けた共同体の脆弱性の低下と強靱性の向上に寄与することを目指しています。
この事業計画の技能・起業家関連分野においてILOがイエメンのガダク財団と連携して実施している見習い実習制度は、これまでに590人の見習い実習生に理論学習、ライフスキル研修、基礎的財務管理能力研修を提供しています。訓練を終えた実習生には、320人の匠からオン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT、企業内実務研修)が提供されます。OJTに先立ち、匠には見習い実習生に訓練を提供し、労働条件改善を助ける技能を備えてもらうため、学習法や職能研修・評価(CBT/A)、労働安全衛生に関する研修が提供されます。
590人の見習い実習生の1人であるイマン・モハンメドさん(18歳)は、イエメン北西部ハッジャ県のバニ・キス村の出身です。11人家族の大黒柱である父親は、日雇い賃金労働と自動二輪車による配達業務を通じて家計を支えています。村から6キロほどの距離にある学校に通う手段がなかったため、イマンさんは早くに学校を中退してしまいました。半非識字状態の今は、学校で学ばなかったことを後悔しています。「私の記憶では、小学校の頃の自分は優秀な生徒でしたが、今は悲しいことに高校を卒業した同年代の娘たちのように読み書きができません」と告白するイマンさんは、実践的な職業技能を身に付ける他の学習選択肢を追求しようと決心し、見習い実習制度に参加することにしました。
「この研修も私の村から6キロ離れたカシール村で行われましたが、自分の人生において新しい何かを学ぶこの機会を逃す手はないと思いました」と語るイマンさんの、新たな訓練機会を最大限活用したいとの決意は、理論講習を担当したアフラム・アリ・フセイン指導員の目にも明白でした。「イマンさんは識字力が十分でないものの、大いに関心を示し、婦人服の仕立てと縫製の基礎をきわめて易々と習得しました」と、婦人服・紳士服の仕立て、ファッションデザインを専門とする技術教育職業訓練省の職員アリ・フセイン指導員は評価します。
イマンさんは理論指導に加えて、カシル縫製研究所で匠のアシワク・ダーウィッシュさんから縫製スキルの有用な実務研修を受けました。「イマンさんは縫製や婦人服の仕立てについての知識があまりありませんでしたが、学ぶのが早く、すぐにきれいに仕立てられた服を生産できるようになりました」とダーウィッシュさんは振り返ります。
今は自宅で婦人服の縫製を始めたイマンさんは、これが持続可能な収入源を提供する商売として繁盛することを望んでいます。「普通、襟や糸、生地の値段を考慮に入れると、1着の服を仕立てる原価は平均2,000イエメンリアル(約880円)になります。最終製品の販売価格は最低3,000リアル(約1,320円)に設定しているので、約1,000リアル(約440円)の利潤が生まれます。断食明けのイードの祝祭期間には、約12着の伝統婦人服、通常の婦人服2着とズボン3着を作り、かなりの利益を得ることができました」と、訓練期間に獲得した技能の成果を振り返ってイマンさんは報告しています。
7月15日は世界ユース技能デーです。