ニュース
日本の支援で児童労働撲滅プロジェクト開始 綿花農家の農業慣行を改善へ マリ
2026年06月18日
ILOは2026年3月から、日本政府の資金拠出を受け、西アフリカにあるマリで、綿花農家の経済的回復力の向上と児童労働の撲滅を目指すプロジェクトを開始しました。期間は12カ月の予定で、ササカワ・アフリカ財団と連携して実施します。
綿花はマリの主要外貨源であり、農村地域で暮らす数千世帯にとって欠かすことのできない収入源です。経済・社会的に重要な産業であるにもかかわらず、いくつかの農業バリューチェーンでは今なお児童労働が根強いなど、深刻な課題を多く抱えています。
包括的アプローチで児童労働の根本原因にメス
児童労働を持続的なかたちで根絶するには、その根本原因にメスを入れる包括的なアプローチが必要です。児童労働の根本にある原因は、▽世帯の貧困▽農家の低所得▽社会保障や質の高い教育へのアクセスが限られていること▽若者や大人が経済的機会を得られないこと――などが挙げられます。
こうした背景を踏まえ、今回実施するプロジェクトでは、農村コミュニティに対して、予期せぬ経済的損失などのリスクが降りかかってもダメージを最小限に抑えられるような回復力(レジリエンス)の強化を図ります。また、子どもの権利を尊重する持続可能な農業慣行を促進し、適切な労働条件の実現と包摂的な経済発展の促進のために働きかけを行います。
生計と農業生産性の向上、労働集約度の軽減、生産者の組織化、児童労働の防止を組み合わせた包括的なアプローチを取ることで、特に▽農業慣行の改善▽気候変動に強い技術の普及▽軽機械化設備の導入▽適切な農業資材へのアクセスの促進▽農業協同組合の能力強化▽市場へのアクセスの改善――を目指します。
6月16日には、このプロジェクト「マリ共和国セグー州における児童労働の撲滅および住民の経済的レジリエンスの促進」の開始を記念して、同国の労働・公共サービス・社会対話省による式典が開かれ、マリ政府や在マリ日本大使館、労働者・使用者の各団体、生産者団体、児童労働撲滅とディーセントワーク推進に取り組む関係者らが出席しました。
式典では、村田優久夫・駐マリ日本大使が、マリにおける包摂的な開発と子どもの権利保護に対する日本政府の長年のコミットメントを改めて表明しました。村田大使は、今回の資金拠出は、最もぜい弱な人々の持続的な生計向上を通じて児童労働を根絶するためのマリの取り組みを支援するという日本の決意を示すものだ、と述べました。
ILOとササカワ・アフリカ財団とのパートナーシップについての発表もあり、同財団による農家研修事業や生産性向上・持続可能な農業慣行推進における高度な専門性が今回のプロジェクトの成功にとって大きな強みであることなどが紹介されました。
また、このプロジェクトでは日本のSPEC社(本社・東京)の土壌硬化剤STEINの活用推進についての関係者間の協議も予定されています。STEIN技術は労働集約型の建設方法を促進すると同時にインフラの耐久性を高め、良質な雇用の創出に貢献します。また、農村地域における市場や必要不可欠なサービス、経済的機会へのアクセス改善に資することが見込まれています。
ILOとマリ政府、日本政府、そして関係機関は、プロジェクトを通じて、子どもたちが働くことなく質の高い教育を受けて潜在能力を発揮でき、どの家族も強じんで持続可能な経済機会を享受できるようにするという共通のコミットメントを再確認していきます。
※以上は、バマコ発英文記事の抄訳です。