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児童労働と気候変動に取り組む ILOがガーナでプロジェクト 日本大使も現地視察
2025年11月27日
ILOは2025年3月から、日本政府の資金拠出を受け、西アフリカにあるガーナで、児童労働の根絶と気候変動に強いカカオ生産を目指すプロジェクトを実施しています。10月には駐ガーナ日本大使らが現地を視察しました。
気候変動が招く貧困 連鎖する児童労働
ガーナのカカオ産地一帯にあるカカオ農園や金の小規模採掘場などでは、児童労働の中でも児童の健康や安全、道徳を害する恐れのある「危険有害労働」を余儀なくされる子どもたちが数千人程度いるとみられています。
このようなカカオ産地ではまた、気候変動にも頭を悩まされています。雨季と乾季があるガーナでは雨の降る時期についてある程度の予測ができていましたが近年では降雨量や降雨期が不規則になり、加えて森林伐採や気温の上昇のためにカカオの収穫量が減っています。収穫量の減少が貧困につながり、貧困を打開する最後の手段として児童労働が発生していました。
働くために学校に通えなかった子どもたちは、長じて親になっても貧困に陥りやすく、教育への関心の低さから児童労働の連鎖が起きるとされています。
2つの課題に同時に取り組む
そこで、このILOのプロジェクトではガーナ北西州の街・ビビアニの8つのコミュニティーで、児童労働と気候変動の課題の解決を目指して、次の4つの活動を主に行っています。
- カカオ生産地域に児童労働フリーゾーンを設置する
- カカオの収穫量を増やし、生産コストを減らせる環境にやさしいバイオ炭※についてカカオ農家に研修を実施し、同時に、カカオに代わる穀物・野菜の栽培などの生計手段を提供する
- 気候変動や貧困によるショックから回復できる力(レジリエンス)を養う
- パートナーと協働し、長期的な変化を目指した投資を行う
2025年10月時点で、児童労働を余儀なくされていた子どもたち100人以上が学校に復学するのを支援したほか、カカオ農家300世帯にバイオ炭づくりの研修を行いました。
児童労働のないカカオ産業へ
10月には、実際のプロジェクトを視察しようと、義本博司・駐ガーナ日本大使、ILOアフリカ地域総局次長のドミニク・アゴスー、ILOガーナ事務所長のヴァネッサ・ファラらが、アシャンティ州ベポソやビビアニなどを訪問しました。
ベポソでは義本大使から子どもたちのために学用品と遊具が贈られました。義本大使は「カカオはガーナにとって主要輸出品であると同時に、多くの家族にとっての生命線でもあります。カカオ産業を強化する際に明確に認識すべきは、子どもたちを犠牲にしてはならないということです」と述べ、「カカオ農園で児童労働が起きてはなりません」と話しました。
バイオ炭で生産コスト減
ベポソで一行はカカオ農家も訪れました。それまで廃棄していたカカオの一部を使ったバイオ炭について話を聞き、バイオ炭が収穫量の向上や農業にかかっていた費用の削減に役立ち、収入の増加につながったことなどの説明を受けました。
地元の児童保護委員会の1人、ナナ・サミュエル・ンティさんは「私たちの多くはカカオ農家で、カカオで生計を立てています。バイオ炭のおかげで収穫量が向上し、大人の労働者を雇う余裕ができ、子どもに頼らずに生産できるようになりました」と話しました。
ビビアニ市議会の表敬訪問では、ブライト・アサモア・ブレフォ国会議員をはじめとする関係者との意見交換も行われ、児童労働根絶に向けた意識向上と明確なメッセージの発信の重要性が改めて示されました。
意見交換で、義本大使は「日本はあらゆる形態の児童労働の根絶のために、ガーナ国とその開発パートナーへの支援をこれからも続けます」と話し、「ILOと地域社会との協働に感謝しており、このプロジェクトからインパクトのあるストーリーをお聞きできるのを楽しみにしています」と締めくくりました。
※バイオ炭とは土壌改良効果がある土壌改良資材のことです。植物に含まれる炭素は、 そのままでは微生物が分解し、二酸化炭素として大気中に放出されてしまいます。植物を炭化し、このバイオ炭をつくって土壌にまくことで、その炭素を土壌に閉じ込め(炭素貯留)、炭素が大気中に放出されるのを減らすことができるといいます。このプロジェクトではこのバイオ炭についての研修を行い、カカオ農家自らが環境にやさしい土地改良資材をつくれるようになるようサポートします。
※この記事は、ガーナ・ビビアニ発英文記事を抄訳し、プロジェクトについて補足したものです。