ニュース

カギは業界超えた連携 ILO・経団連が「責任ある企業行動」テーマにセミナー

2025年12月24日

ILO駐日事務所と経団連(筒井義信会長)は12月16日、東京・渋谷の国連大学で「責任ある企業行動」についてのセミナーを開催しました。企業に対し人権の尊重が期待される中、1社の取り組みを超え、業界全体、さらに他の業界とも連携する意義を理解してほしいと両団体が企画し、対面・オンライン合わせて230人超が参加しました。

前半は、経団連が9月に公表した意見書「『人権尊重経営』の推進~『ビジネスと人権』に関する経団連の考え方と政府への期待」を、同ソーシャル・コミュニケーション本部長の正木義久氏が紹介し、企業活動やサプライチェーン上に人権を侵害するリスクがないかチェックし対応する「人権デューディリジェンス」について、企業がそれぞれのニーズに合わせて取り組みを進められるよう政府からの支援を期待していると述べました。

続く産業団体によるパネルディスカッションでは、建設・不動産『人権デュー・ディリジェンス推進協議会』(三菱地所人事部担当部長兼関西支店副支店長)の森下朝日太郎氏、日本貿易会サステナビリティグループ主幹の遠藤恵理香氏、電子情報技術産業協会CSR委員会副委員長(NEC経営企画・サステナビリティ推進部門ステークホルダーリレーション統括部サステナビリティ戦略企画室シニアプロフェッショナル)の森実尚子氏、日本繊維産業連盟副会長兼事務総長の富𠮷賢一氏がそれぞれの団体の取り組みと役割を説明。「業界内で共通の課題について業界として対応の方向性を示すことが重要」や、サプライヤーに対して人権尊重の取り組み状況を尋ねる質問票について「企業負担を軽減するための取り組みを進めていきたい」などの意見が相次ぎました。

セミナー後には業界団体の担当者らが参加するワークショップもあり、「別の業界と事例を共有することも、業界内で横の連携を進めることもどちらも重要だと実感した」「課題があるのは痛感しているが、社内で浸透させるのに苦労している。経営者に対してよい説得方法があれば知りたい」などの意見が寄せられました。

セミナー登壇者。(左上から時計回りに)ILO駐日代表の富田望、経団連ソーシャル・コミュニケーション本部長の正木義久氏、建設・不動産『人権デュー・ディリジェンス推進協議会』の森下朝日太郎氏、日本貿易会サステナビリティグループ主幹の遠藤恵理香氏、電子情報技術産業協会CSR委員会副委員長の森実尚子氏、日本繊維産業連盟副会長兼事務総長の富𠮷賢一氏(登壇順)=2025年12月16日午後、東京・渋谷の国連大 © ILO / Aki Chizuka
セミナー登壇者。(左上から時計回りに)ILO駐日代表の富田望、経団連ソーシャル・コミュニケーション本部長の正木義久氏、建設・不動産『人権デュー・ディリジェンス推進協議会』の森下朝日太郎氏、日本貿易会サステナビリティグループ主幹の遠藤恵理香氏、電子情報技術産業協会CSR委員会副委員長の森実尚子氏、日本繊維産業連盟副会長兼事務総長の富𠮷賢一氏(登壇順)=2025年12月16日午後、東京・渋谷の国連大

Related Content

アジアにおける責任あるバリューチェーン構築(フェーズII)
Female workers polishing auto parts.

プロジェクト

アジアにおける責任あるバリューチェーン構築(フェーズII)