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「社会正義」の実現まだ遠く 根強く残る不平等 ILOが報告書
2025年09月23日
ILOは9月24日(日本時間)、社会正義についての旗艦報告書を発表しました。この報告書で新たに行われた分析では、過去30年で世界では貧困の削減や教育、生産性が改善したものの、近年の歩みは遅く、不平等が根強く残り、機関・制度(institutions)に対する信頼度が低下傾向にあることがわかりました。報告書は、主要分野における進歩が停滞し、社会正義の実現が遠のいていると指摘しています。
この旗艦報告書The state of Social Justice. A work in progress(社会正義の現状)は、2023年6月のジュネーブ開催に続き、今年11月にドーハで開催される「社会正義サミット」を前に公表したもの。国際社会が貧困や失業、社会の崩壊との闘いのためにコペンハーゲンに会した1995年の「世界社会開発サミット」の30周年を記念して制作されました。
ここ30年の主な成果は、5歳から14歳までの児童労働の割合の半減(20パーセントから10パーセント)、極度の貧困層(1日2.15ドル未満で暮らす人々)の減少(39パーセントから10パーセント)、初等教育修了率の10ポイントの上昇、そして、初めて世界人口の半数以上が社会的保護を受けられるようになったこと――などが挙げられます。
しかしながら、報告書では、深刻かつ持続的な、解消されていない問題が明らかになりました。
- 人の収入の71%は、国や性別など本人がどうすることもできない出生時の状況によって決定される
- インフォーマル経済(規制官庁などへの届け出がないために、法や規制の対象とならず、そこで働く多くの人が労災補償や失業手当などを受けることができない)は20年間でわずか2ポイントしか減少しておらず、依然として労働者の58%が影響を受けている
- 男女別労働力率の差は2005年以降わずか3ポイント縮小したが、依然として24%にも上る
- 現在のペースで進めば、世界な男女間賃金格差を解消するには100年かかる
報告書はまた、1982年以来、機関・制度への信頼度は世界中で低下し、努力が正当に報われないことに対する不満の高まりを映していると分析しています。ILOは、社会契約を強化するための行動をとらない限り、このような信頼の低下は民主主義制度や国際協力の正当性を損ないかねないと警鐘を鳴らしています。
社会正義は道徳的な要請であるだけでなく、経済的安全保障、共生社会の実現、そして平和にとって不可欠である
ILO事務局長 ジルベール・F・ウングボ
これらの分析は、大きな変革を迎えた今、公表されました。環境、デジタル、人口動態における転換は、かつてないスピードで労働市場を再構築しています。熟慮を伴った政策なしには、こうした移行は不平等を深化させかねません。この報告書は、技能への投資、社会的保護、公正な賃金制度、積極的な労働市場政策などの適切な対策を講じることで、労働市場は包摂性と回復力の源になり得ると述べています。
ILO事務局長のジルベール・F・ウングボは「世界は紛れもなく進歩を遂げた。だが、何百万もの人々が、労働の機会や尊厳を得られずにいることを看過できない。社会正義は道徳的な要請であるだけでなく、経済的安全保障、共生社会の実現、そして平和にとって不可欠である」と述べています。
この報告書では、機会への不平等なアクセスに取り組み、経済的利益の公平な分配を確保し、誰一人取り残されることのないよう、環境、デジタル、人口動態の転換を制するための緊急行動を求めています。また、金融、産業、健康、気候に至るまで、あらゆる政策立案の中核に社会正義を据え置く必要性と、グローバルな課題への首尾一貫した対応を実現するために、政府、国際機関、そして社会対話を行う政府、労働者、使用者といった社会的パートナー間の協力を強化する必要性を論じています。
この報告書でまとめられた知見は、11月の社会正義サミットで交わされる議論でも取り上げられる予定です。ILOが主導する、公正で包摂的な社会を推進する「社会正義のためのグローバル連合」は政府、使用者、労働者団体、その他のパートナーが集まり、社会正義と万人のためのディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現に向けて活動しています。
※以上はジュネーブ発英文記者発表の日本語訳です。
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