労働安全衛生世界デー

インドネシアの労働安全衛生若者チャンピオン

 労働安全衛生への若者の関与を促進するILOの活動に鼓舞され、インドネシアでは若者が自分たちの発意で事業を進め、地元社会に違いをもたらすに至っています。

2018年04月27日

 2017年9月にシンガポールで第21回労働安全衛生世界会議が開かれた際、ILOの「安全で健康的な労働者世代の構築(SafeYouth@Work)プロジェクト」は、29カ国から124人の若者チャンピオンを招き、SafeYouth@Work会議を開催しました。チャンピオンらは、若者が直面している労働安全衛生上の課題に対する若者自身の解決策のモデルを示し、労働安全衛生に係わる若者の国際的なネットワークを構築しました。インドネシアから参加した9人の若者の1人であるヌール・チャリロー・S・イスカンダルさんはジョグジャカルタの大学で学ぶ女子学生ですが、大学内で労働安全衛生のワークショップを開いています。800キロ以上離れたパレンバンに住むもう1人のチャンピオンは建設会社を営む青年企業家のファリド・アルハルシさんですが、自社従業員だけでなく、役人その他の若者にも労働安全衛生に関する情報の普及を図っています。

 インドネシアでは人口1億3,000万人の約半分が30歳未満の若者であり、その多くが建設業のような事故や疾病の危険が高い職場で働いています。800万人を超える建設労働者の多くが若者です。若者は業務関連の危害や危険に関する十分な知識がない上、交渉力がないために危険な業務や労働安全衛生状態が劣悪な仕事を引き受けてしまう可能性があります。

 世界会議参加後、イスカンダルさんは労働安全衛生に関する自身の知識を大学で共有し続けています。既に級友や大学講師と共に、若者を対象とした対話式労働安全衛生講座を2回開いたイスカンダルさんは、労働安全衛生は若年労働者にとりわけ重要であると強調しています。アルハルシさんも同じように労働安全衛生に関する積極的な啓発活動を行っており、パレンバン市長やインドネシア青年企業家協会(HIPMI)と共に説明会を開き、地元のテレビ局のインタビューに応じ、他の国の労働安全衛生若者チャンピオンと協力してソーシャルメディア・キャンペーンを実施しました。

 2人が接触した人々のほとんどが最初は日常生活における労働安全衛生の重要性をほとんど理解していませんでした。「企業家仲間の中には、いまだに労働安全衛生を企業にとっての負担やコストと考え、重要な問題と見ていない人たちがいます」とアルハルシさんは指摘します。イスカンダルさんは級友の認識が良い方向に変わるのを目撃してきました。「仕事の世界に入るに当たり、労働安全衛生の適切な保護を受ける権利があることに気づき、もっと情報を求めるようになりました」とイスカンダルさんは報告します。既に2人の級友が他の大学の学生を対象とした労働安全衛生啓発講座に協力したいとの関心を示しています。

 地元の使用者の意識変革に向けた努力を続けるアルハルシさんは安全担当者の任命など、自社の運営にも変更を加えています。「得られるデータや情報が増えたHIPMIは今日、労働安全衛生に係わる防止と行動にもっと注意を払うようになり、労働安全衛生に取り組む行動が現実に企業のためになることを理解し始めました。私の会社でも従業員が安全を良い習慣と化すようになってきています。これまでも安全具を支給し、入手できる状態にしてきましたが、労働者は使いたがりませんでした。しかし、今では適切な安全具が使用されています」とアルハルシさんも報告します。

 ILOは若者の労働安全衛生参加の改善に向けた事業を二つ実施しています。インドネシア、ミャンマー、フィリピン、ベトナムで展開されている「グローバルサプライチェーン(地球規模供給網)における若年労働者と若手使用者のための労働安全衛生-予防文化の構築(Youth4OSH)プロジェクト」は、若年労働者と若手使用者の災害防止活動の増加を通じて職場における死傷災害、職業病の削減を目指しており、仲介業者のネットワークに労働安全衛生を促進するツールやスキルを備えさせるための活動を実施しています。SafeYouth@Workプロジェクトは、労働安全衛生に関する予防文化の構築を図って24歳以下の労働者の労働安全衛生改善を目指しています。

 ILOインドネシア・東チモール国別事務所も国内で実施される全ての事業計画に労働安全衛生が組み込まれるよう確保することを目指す1年間のキャンペーンを開始しました。例えば、漁業やパーム油部門、中小企業、団体交渉、労働法令等遵守などの観点から労働安全衛生事項が検討されます。この協調的な取り組みは労働安全衛生をインドネシアの全ての人々の関心事項とする上で大きな前進を達成することが期待されます。

 第21回労働安全衛生世界会議では、ジャヤトマ・ウイクラマナヤケ国連青少年問題特使がガイ・ライダーILO事務局長及び若者チャンピオンと一緒になって、職場における若者の安全性と健康を向上させる公約を呼びかけました。若者チャンピオンたちは、より幅広い労働安全衛生コミュニティーにならい、若者に労働安全衛生予防文化を構築する行動計画をまとめました。

 以上はILOアジア太平洋総局による2018年4月27日付のジャカルタ発英文広報記事の抄訳です。