国際青少年デー
イラクのクルディスタン地域における医療部門の変革に取り組む若手女性起業家
最近ILOの開業・事業改善(SIYB)訓練プログラムに参加したナスリーン・ハッサンさんは、医用工学の前進を図る自身のビジネスアイデアが、いかにイラクの人々の暮らしを変え、雇用を創出する可能性があるかを説明しています。
2021年08月12日
ILOはオランダ政府の任意資金協力を受けて、国連児童基金(UNICEF)、国際金融公社(IFC)、世界銀行、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と共に、アフリカ東・北部とアラブの8カ国で避難民とその受入社会を支える4年間のグローバルな戦略的パートナーシップとして、「移動を強いられた人々と受入社会の展望改善パートナーシップ(PROSPECTS)事業」を実施しています。
イラクでILOがUNICEFその他のPROSPECTSのパートナーと協力して重点を置いている主な分野の一つとして、一連の賃金雇用及び自営業のための介入事業を通じて若者が学習及び技能開発からディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)へ移行するのを支えています。これには銀行や小口金融機関、UNICEFの支援する青少年センターや中小企業を支援する地元の非政府組織(NGO)などの様々な機関の人々にILOの訓練パッケージに関する指導員研修を提供する活動も含まれています。指導員から訓練を受けた若者の一部は、さらなる支援のためにILOに紹介されます。この事業計画はまた、2021年3月に開始されたイラク中央銀行と連携して実施されているイニシアチブの一環として、訓練を受けた若者が事業を始め、人並みの生計を確立する助けを提供するものとして、その一部を手頃な金融サービスの機会と結び付ける活動も行っています。
最近、UNICEFの支援する青少年センターのACTEDでライフスキル訓練を受けたナスリーン・ハッサンさん(25歳)は、イラクのクルディスタン地域にある病院その他の医療センターによる医療用機器の改善・維持を手助けするビジネスアイデアを何年も前から温めてきました。何年にもわたる紛争の目撃者であるハッサンさんは、世界規模のコロナ禍の現状では特に、子どもを含む人々の命を救い、暮らしを改善する活動に参加したいと考えています。「武器やロケットの数の方が医療用機器を上回る現状を正したいのです」とハッサンさんは語っています。
「自分だけでなく、周囲の皆にとっても、この世界を良くするものは何か考えてみて下さい。私の場合は地元で医療用機械の生産、設置、保守に携わりたいと思っています。これは若者に雇用機会を創出すると同時に多くの人に新たな機会を開く助けになるでしょうから。でも最も重要なことは、これは命を救い、暮らしを改善するという点です」と語るハッサンさんは、医用工学を志しながら学問を続けることができず、代わって情報工学(IT)の学位を取得しました。
ハッサンさんは最近、事業の開業に必要な知識とツールを提供することを目指してILOがイラクで実施している開業(SYB)訓練プログラムに参加しました。SYBは事業開発の各段階に漸進的に対応するよう設計されている、より幅広い「開業・事業改善(SIYB)訓練パッケージ」の一部です。イラクにおける訓練は、自身で小規模事業を立ち上げるか既存事業の改善に関心のある難民や国内避難民、脆弱な受入社会の若者を支援することを目指しています。
ハッサンさんは他の140人の起業家の卵と共に2021年7月にドホーク市で開かれた6日間の集中訓練に参加しました。訓練は、開業に向けた心構え、事業計画の準備、将来性評価に関わる能力向上を目的とした九つの講座を中心とするものでした。「訓練の最も有益だった部分は事業計画に関するものでした。これについてはある程度の知識は既にありましたが、あれほど深く詳しくは知りませんでしたから。ILOにおける訓練の初日から事業計画に取り組み、一歩ずつ練り上げました。訓練が進むにつれて、ますます現状を反映してアイデアが広がっていきましたから、途中で何度も修正し、新たなアイデアを付け加えていきました」とハッサンさんは振り返ります。
ハッサンさんには克服すべき多くのハードルと共に進むべき訓練機会も存在します。前途には長い旅が待ち受けているものの、ハッサンさんは事業計画を実現させることを決意しています。「たとえ20年かかったとしても、自分の事業を設立する技術的なノウハウを習得した段階に至るには、その助けになる金銭的な支援も、もっと多くの訓練も必要です。自分と同じ立場の若者に対しては、学問であろうと仕事であろうと、自分の目標を追求すべきと言いたいです。何かに邪魔されないようにして下さい」と、ハッサンさんは語っています。