1930年の強制労働(規律)勧告(第36号)

ILO勧告 | 1930/06/28

強制労働の規律に関する勧告(第36号)

 国際労働機関の総会は、国際労働事務局の理事会によりジュネーヴに招集されて、二千四年六月一日にその第九十二回会期として会合し、本会期の議事日程の第七議題である複数の国際労働勧告の撤回に関する提案を検討し、二千四年六月十六日に、千九百三十年の強制労働(規律)勧告(第三十六号)の撤回を決定する。国際労働事務局長は、この本文書撤回の決定を、国際労働機関の加盟国及び国際連合事務総長に通知する。この決定の英文及びフランス文は、ひとしく正文とする。

 国際労働機関の総会は、
 国際労働事務局の理事会に依りジユネーヴに招集せられ、千九百三十年六月十日を以て其の第十四回会議を開催し、
 右会議の会議事項の第一項目の一部たる強制労働の規律に関する提案の採択を決議し、且
 該提案は勧告の形式に依るべきものなることを決定し、
 国際労働機関の締盟国をして立法其の他の方法に依り之が実現を為さしむる目的を以て考慮せしむる為、国際労働機関憲章の規定に従ひ、千九百三十年六月二十八日、千九百三十年の強制労働(規律)勧告と称せらるべき左の勧告を採択す。
 強制労働に関する条約を採択したる上、尚
 右条約の実施を一層有効ならしむる性質を有すると認めらるる強制労働に関する一定の原則及規準を表明せんことを希望し、
 総会は、各締盟国が左の原則及規準を考慮すべきことを勧告す。

 強制労働に関する条約を実施するに付公布せらるる規則及該条約の批准の当時存在するか又は爾後に制定せらるる強制労働の使用を規律する他の法規又は行政命令(強制労働に徴収せらるる労働者の疾病、傷害又は死亡に対する補償又は賠償に関する法律又は行政命令を含む。)は、関係労働者及右労働者が徴収せらるべき住民に其の意義を知らしむるが如き一又は二以上の土民語を以て権限ある機関に依り印刷せらるべし。右印刷せられたる法文は、広く公示せらるべく且必要に応じ関係ある労働者及住民に対し口頭に依る通告の為の措置は執らるべし。写は、又実費を以て関係労働者及他の者に利用せられ得るものと為さるべし。

 強制労働の使用は、関係部落の食糧の供給を危殆ならしめざる様規律せらるべし。

 強制労働を使用する場合には、右労働の賦課が如何なる場合に於ても強制労働に於ける女子及児童の不法なる使用を間接に生ぜしめざることを確保する為一切の可能なる措置を執るべし。

 人及貨物の運送の為の強制労働を使用する必要を減ずる為一切の可能なる措置を執るべし。右使用は、動物又は機械に依る運送の利用し得る一切の場合に於ては禁止せらるべし。

 如何なる酒精も、強制労働に従事する労働者を誘惑せざる様一切の可能なる措置を執るべし。