1936年の有給休暇勧告(第47号)

ILO勧告 | 1936/06/24

年次有給休暇に関する勧告(第47号)

 国際労働機関の総会は、
 国際労働事務局の理事会に依りジユネーヴに招集せられ、千九百三十六年六月四日其の第二十回会議として会合し、
 右会議の会議事項の第二項目たる年次有給休暇に関する提案の採択を決議し、且
 該提案は勧告の形式に依るべきものなることを決定し、
 千九百三十六年の有給休暇勧告と称せらるべき左の勧告を千九百三十六年六月二十四日採択す。
 総会は、
 被用者の為の年次有給休暇に関する条約を採択し、
 右休暇の目的は、被用者に休息、娯楽及其の能力の啓発の為の機会を確保するに在ることに鑑み、
 条約に依り定めらるる条件が有給休暇制度の準拠すべき最小限度の標準を設定するものなることに鑑み、
 右制度の適用方法を一層詳細に示すこと望ましきに鑑み、
 各締盟国が左の提案を考慮すべきことを勧告す。
1(1) 休暇を受くる権利あるに至る為に要求せらるる勤務の継続性は、疾病若は災害、家庭の用事、兵役、公民権の行使、被用者が使用せらるる企業の経営上の変更又は失業期間が所定限度を超えず且右の者が再び業務に就く場合に於ける間歇的の非任意的失業に基く中断に依り影響せられざるものとす。
 (2) 労働が一年を通じ規則的には行はれざる職業に於ては、勤務の継続性の条件は、所定の期間中に所定の日数労働することに依り充さるるものと看做さるべきものとす。
 (3) 休暇は、一年の勤務の後之を受くべきものとし、右の期間が同一の使用者の雇傭に於て費されたると数多の使用者の雇傭に於て費されたるとは之を問はざるものとす。各国政府は、休暇の付与より生ずる費用が専ら最後の使用者の負担と為ることなきことを確保する為有効なる措置を執るべし。
2 特別の場合に於ては、休暇を分割する為の措置の執らるべきことは望ましきことなりと雖も、右の特別の措置が被用者をして一年中の肉体力及精神力の喪失を補ふことを得しめんとする休暇の目的に背反せざることを確保する為注意を為すべきものとす。他の場合に於ては、全く例外的の事情ある場合を除くの外、休暇の分割は、二を超えざる部分(其の一は、所定の最短限度を下ることを得ず。)への分割に制限せらるべきものとす。
3 勤務期間に応じ休暇の期間を増加することが能ふ限り早く開始せらるべきこと、及所定年数の後には所定の最短限度(例へば勤務七年の後には十二労働日)に達する様規則的段階を以て行はるべきこと望ましとす。
4 出来高又は個数高を基礎として全部又は一部の支払を受くる者の報酬を計算する最公正なる方法は、能ふ限り所得の変動の影響を受けしめざる様相当長き期間に亙る平均所得を計算するに在りとす。
5 締盟国が年少者及徒弟にして十八歳未満のものの為に肉体の発育期に学校生活より産業生活への移動を容易ならしめる為、一層有益なる制度を設くべきに非ざるか否かを考究すべきこと望ましとす。