1921年の労働者補償(農業)条約(第12号)

ILO条約 | 1921/11/12

農業に於ける労働者補償に関する条約(第12号)
(日本は未批准 仮訳)

 国際労働機関の総会は、
 国際労働事務局の理事会に依りジユネーヴに招集せられ、千九百二十一年十月二十五日を以て其の第三回会議を開催し、
 右会議の会議事項の第四項目の一部たる災害に対する農業労働者の保護に関する提案の採択を決議し、且
 該提案は国際条約の形式に依るべきものなることを決定し、
 国際労働機関の締盟国に依り批准せらるるが為、国際労働機関憲章の規定に従ひ、千九百二十一年の労働者補償(農業)条約と称せらるべき左の条約を採択す。

第 一 条

 本条約を批准する国際労働機関の各締盟国は、労働者の使用に基き又は使用中に生じたる災害に因る身体の傷害に付右労働者に補償を定むる当該国の法令規則を、一切の農業賃金労働者に拡張することを約す。

第 二 条

 国際労働機関憲章に定むる条件に依る本条約の正式批准は、登録の為国際労働事務局長に之を通告すべし。

第 三 条

1 本条約は、事務局長が国際労働機関の締盟国中の二国の批准を登録したる日より効力を発生すべし。
2 本条約は、該事務局に其の批准を登録したる締盟国のみを拘束すべし。
3 爾後本条約は、他の何れの締盟国に付ても、右事務局に其の批准を登録したる日より効力を発生するものとす。

第 四 条

 国際労働機関の締盟国中の二国が国際労働事務局に本条約の批准の登録を為したるときは、事務局長は、国際労働機関の一切の締盟国に右の旨を通告すべし。事務局長は、爾後該機関の他の締盟国の通告したる批准の登録を一切の締盟国に同様に通告すべし。

第 五 条

 本条約を批准する各締盟国は、千九百二十四年一月一日迄に第一条の規定を実施し、且右規定を実施するに必要なるべき措置を執ることを約す。尤も第三条の規定に従ふものとす。

第 六 条

 本条約を批准する国際労働機関の各締盟国は、国際労働機関憲章第三十五条の規定に依り其の殖民地、属地及保護国に之を適用することを約す。

第 七 条

 本条約を批准したる締盟国は、本条約の最初の効力発生の日より十年の期間満了後に於て、国際労働事務局長宛登録の為にする通告に依り之を廃棄することを得。右の廃棄は、該事務局に登録ありたる日以後一年間は其の効力を生ぜず。

第 八 条

 国際労働事務局の理事会は、少くとも十年に一回本条約の施行に関する報告を総会に提出すべく、且其の改正又は変更に関する問題を総会の会議事項に掲ぐべきや否やを審議すべし。

第 九 条

 本条約は、仏蘭西語及英吉利語の本文を以て共に正文とす。