1957年の強制労働廃止条約(第105号)

ILO条約 | 1957/06/25

強制労働の廃止に関する条約(第105号)
(日本は未批准、仮訳)

 国際労働機関の総会は、
 理事会によりジュネーブに招集されて、千九百五十七年六月五日にその第四十回会期として会合し、
 この会期の議事日程の第四議題である強制労働問題を審議し、
 千九百三十年の強制労働に関する条約の諸規定に留意し、
 千九百二十六年の奴隷条約が、強制労働が奴隷制度に類似する状態に発展することを防止するために必要なすべての措置を執るべきことを規定していること、並びに千九百五十六年の奴隷制度、奴隷取引並びに奴隷制度に類似する制度及び慣行の廃止に関する補足条約が、負債奴隷制及び農奴制の完全な廃止を規定していることに留意し、
 千九百四十九年の賃金保護条約が、賃金は定期的に支払われるべきことを規定し、かつ、労働者からその雇用を終止する事実上の機会を奪う支払方法を禁止していることに留意し、
 国際連合憲章に掲げられ、かつ、世界人権宣言に述べられている、人間としての権利の侵害となるある種類の強制労働の廃止に関し、さらに提案を採択することを決定し、
 この提案が国際条約の形式をとるべきであることを決定したので、
 次の条約(引用に際しては、千九百五十七年の強制労働廃止条約と称することができる)を千九百五十七年六月二十五日に採択する。

第 一 条

 この条約を批准する国際労働機関の各加盟国は、次に掲げる手段、制裁又は方法としてのすべての種類の強制労働を禁止し、かつ、これを利用しないことを約束する。
 (a) 政治的な圧制若しくは教育の手段又は、政治的な見解若しくは既存の政治的、社会的若しくは経済的制度に思想的に反対する見解をいだき、若しくは発表することに対する制裁
 (b) 経済的発展の目的のために、労働力を動員し、及び利用する方法
 (c) 労働規律の手段
 (d) 同盟罷業に参加したことに対する制裁
 (e) 人種的、社会的、国民的又は宗教的差別待遇の手段

第 二 条

 この条約を批准する国際労働機関の各加盟国は、前条に明記する強制労働の即時の、かつ、完全な廃止を確保するために効果的な措置を執ることを約束する。

第 三 条

 この条約の正式の批准は、登録のため国際労働事務局長に通知する。

第 四 条

1 この条約は、国際労働機関の加盟国でその批准が事務局長に登録されたもののみを拘束する。
2 この条約は、二の加盟国の批准が事務局長に登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。
3 その後は、この条約は、いずれの加盟国についても、その批准が登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。

第 五 条

1 この条約を批准した加盟国は、この条約が最初に効力を生じた日から十年を経過した後は、登録のため国際労働事務局長に送付する文書によってこの条約を廃棄することができる。その廃棄は、登録された日の後一年間は効力を生じない。
2 この条約を批准した加盟国で、1に定める十年の期間が満了した後一年以内にこの条に規定する廃棄の権利を行使しないものは、更に十年間拘束を受けるものとし、その後は、十年の期間が満了するごとに、この条に定める条件に従ってこの条約を廃棄することができる。

第 六 条

1 国際労働事務局長は、国際労働機関の加盟国から通知を受けたすべての批准及び廃棄の登録をすべての加盟国に通告する。
2 事務局長は、通知を受けたニ番目の批准の登録を国際労働機関の加盟国に通告する際に、この条約が効力を生ずる日につき加盟国の注意を喚起する。

第 七 条

 国際労働事務局長は、国際連合憲章第百二条の規定による登録のため、前諸条の規定に従って登録されたすべての批准及び廃棄の完全な明細を国際連合事務総長に通知する。

第 八 条

 国際労働機関の理事会は、必要と認めるときは、この条約の運用に関する報告を総会に提出するものとし、また、この条約の全部又は一部の改正に関する問題を総会の議事日程に加えることの可否を検討する。

第 九 条

1 総会がこの条約の全部又は一部を改正する条約を新たに採択する場合には、その改正条約に別段の規定がない限り、
 (a) 加盟国によるその改正条約の批准は、その改正条約の効力発生を条件として、第五条の規定にかかわらず、当然にこの条約の即時の廃棄を伴う。
 (b) 加盟国による批准のためのこの条約の開放は、その改正条約が効力を生ずる日に終了する。
2 この条約は、これを批准した加盟国で1の改正条約を批准していないものについては、いかなる場合にも、その現在の形式及び内容で引き続き効力を有する。

第 十 条

 この条約の英文及びフランス文は、ひとしく正文とする。