1959年の最低年齢(漁船員)条約(第112号)

ILO条約 | 1959/06/19

漁船員として使用することができる最低年令に関する条約(第112号)
(日本は未批准、仮訳)

 国際労働機関の総会は、
 理事会によりジュネーヴに招集されて、千九百五十九年六月三日にその第四十三回会期として会合し、
 この会期の議事日程の第五議題の一部である漁船員として使用することができる最低年令に関する提案の採択を決定し、
 この提案が国際条約の形式をとるべきであることを決定したので、
 次の条約(引用に際しては、千九百五十九年の最低年令(漁船員)条約と称することができる。)を千九百五十九年六月十九日に採択する。

第 一 条

1 この条約の適用上、「漁船」とは、公有であると私有であるとを問わず、塩水において海上漁業に従事するすべての種類の船舶及び舟艇をいう。
2 この条約は、港湾又は河口における漁業について、また、スポーツ又はレクリエーシヨンのために漁ろうをする者については適用しない。

第 二 条

1 十五才未満の児童は、漁船において使用され、又は労働してはならない。
2 前項の規定にかかわらず、十五才未満の児童は、その従事する作業が次のものでないことを条件として、学校の休暇の期間随時漁船内において作業に従事することができる。
 (a) 児童の健康又は正常の発育にとつて有害なもの
 (b) 学校への出席の妨げとなるもの
 (c) 営利を目的とするもの
3 さらに、十四才以上の児童については、国内法令で指定される教育官庁又は他の適当な機関が、使用されようとする児童の健康及び身体の状態並びに当該使用によつて児童が受ける現在及び将来の利益を十分に考慮した上で、この使用がその児童にとつて有益であると認めるときは、児童使用の許可証を発給することができる旨の規定を国内法令に設けることができる。

第 三 条

 十八才未満の年少者は、石炭を燃料とする漁船において石炭夫又は火夫として使用され、又は労働してはならない。

第 四 条

 第二条及び第三条の規定は、学校船又は練習船において児童が行なう労働について適用しない。ただし、この労働は、公の機関により承認され、かつ、その監督を受けるものとする。

第 五 条

 この条約の正式の批准は、登録のため国際労働事務局長に通知する。

第 六 条

1 この条約は、国際労働機関の加盟国でその批准が事務局長に登録されたもののみを拘束する。
2 この条約は、二の加盟国の批准が事務局長に登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。
3 その後は、この条約は、いずれの加盟国についても、その批准が登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。

第 七 条

1 この条約を批准した加盟国は、この条約が最初に効力を生じた日から十年を経過した後は、登録のため国際労働事務局長に送付する文書によつてこの条約を廃棄することができる。その廃棄は、登録された日の後一年間は効力を生じない。
2 この条約を批准した加盟国で、1に定める十年の期間が満了した後一年以内にこの条に規定する廃棄の権利を行使しないものは、更に十年間拘束を受けるものとし、その後は、十年の期間が満了するごとに、この条に定める条件に従つてこの条約を廃棄することができる。

第 八 条

1 国際労働事務局長は、国際労働機関の加盟国から通知を受けたすべての批准及び廃棄の登録をすべての加盟国に通告する。
2 事務局長は、通知を受けた二番目の批准の登録を国際労働機関の加盟国に通告する際に、この条約が効力を生ずる日につき加盟国の注意を喚起する。

第 九 条

 国際労働事務局長は、国際連合憲章第百二条の規定による登録のため、前諸条の規定に従つて登録されたすべての批准及び廃棄の完全な明細を国際連合事務総長に通知する。

第 十 条

 国際労働機関の理事会は、必要と認めるときは、この条約の運用に関する報告を総会に提出するものとし、また、この条約の全部又は一部の改正に関する問題を総会の議事日程に加えることの可否を検討する。

第 十 一 条

1 総会がこの条約の全部又は一部を改正する条約を新たに採択する場合には、その改正条約に別段の規定がない限り、
 (a) 加盟国によるその改正条約の批准は、その改正条約の効力発生を条件として、第七条の規定にかかわらず、当然にこの条約の即時の廃棄を伴う。
 (b) 加盟国による批准のためのこの条約の開放は、その改正条約が効力を生ずる日に終了する。
2 この条約は、これを批准した加盟国で1の改正条約を批准していないものについては、いかなる場合にも、その現在の形式及び内容で引き続き効力を有する。

第 十 二 条

 この条約の英文及びフランス文は、ひとしく正文とする。