日本の対ILO任意拠出事業

ガンビア:若年雇用の創出による持続可能な平和構築~雇用集約型建設作業がスタート!

 このプロジェクトでは平等でディーセントな就業機会を提供することに焦点をあて、ILOの雇用集約型建設手法を使って、ガンビアで若年雇用の機会を創出します。

ニュース記事 | 2018/10/17

 ILOは「ガンビアにおける若者の雇用創出による持続可能な平和構築」プロジェクトを2018年4月に開始しました。当プロジェクトは、2017年に民主化への移行に成功した新生ガンビアの成長を促進することを目的に、日本政府が資金協力を行っています。プロジェクトの目標は、インフラ建設により若者の雇用機会を創出することでディーセント・ワークと機会平等を促進し、持続可能な平和に貢献することです。

 雇用集約型投資手法を用いることで、若者、特に若い女性、教育を十分に受けていない若者や障害のある若者、あるいは帰還民を直接雇用して雇用機会を最大化し、ガンビアからの不法移民の流れに歯止めをかけます。プロジェクト参加者は建設現場において「実地に学ぶ」ことにより就業経験を獲得し技能を向上することができます。これはILOのこの分野における40年に渡る長い経験により培われたものです。建設されたインフラを最大限活用し、労働市場において雇用創出をより一層促進するために、3つの建設現場が経済成長の鍵となる分野である観光業、漁業及び農業分野から選ばれました。

 プロジェクトでは、日本やケニアなどで革新的な道路技術の指導を行った先駆者である、NGO道普請人(CORE)と協力し、ガンビアに新たに導入された「土のう技術」を含む、建設に関する技術移転の重要性も強調しています。4人のガンビアの若者が技術者として採用され、同国での持続可能な建設技術の応用に取り組みます。

ガンビアのプロジェクト現場

 建設作業は、観光業の発展に向けた遊歩道(1.2km)の修復作業及び、漁業分野のための幹線道路から水揚げ地点まで(2.5km)の道路アクセスの改善から始まりました。現在、250人の若者の雇用機会が創出されており、そのうち女性が50%、帰還民が12%を占めるとともに、10人の聴覚障害のある労働者(男女各5人)も含まれます。多様な地元の方言の使用や手話による翻訳を導入することで、すべての建設作業者が円滑なコミュニケーションができるようにしています。当プロジェクトは、近日中に多目的農業センターの修復のための建設作業を始動させる予定で、地元コミュニティと農業の発展にも貢献します。

 ILOは建設分野における労働安全衛生(OSH)指導員の能力強化トレーニングを、ガンビア貿易・産業・地域統合・雇用省(MOTIE)、労働省、ガンビア商工会議所(GCCI)と共催で、2018年8月23日から25日の日程で行いました。また、2018年10月には労働組合と協力して新たな訓練を実施する予定です。この指導員の能力強化の後に、実際の訓練が実施され、現場の労働環境の改善が図られます。

 労働市場への参入はMOTIE、国際移住機関(IOM)及びガンビア若者エンパワーメントプロジェクト(YEP)が8月12日から17日にかけて共催したフォーラムやジョブフェアによっても促進され、これにより300人を超える若者が潜在的な雇用主と繋がることができました。

 プロジェクトでは雇用集約型建設によるさらなる雇用創出、起業家支援及び技能開発により、若年女性や男性の雇用創出に引続き貢献していきます。