新指標で深刻さ浮き彫りに 雇用における男女間格差 

記者発表 | 2023/03/06
ILOは3月5日、概況資料New data shine light on gender gaps in the labour marketを発表しました。雇用へのアクセスと労働条件における男女間の不均衡はこれまで考えられていたよりも深刻だと報告しています。

この概況で示されたILOの新指標「労働需要不足(jobs gap)」では、仕事をする意欲はあるが職に就いていない全ての人が対象で、低所得国で仕事を見つけられない女性の割合は24.9%、男性は16.6%でした。一般的に用いられる失業率よりも、女性と仕事の状況ははるかに厳しいことが浮かび上がり、女性が仕事を見つけるのは男性よりも依然として難しいことがわかりました。

「働きたいが仕事がない」と答えた世界の生産年齢人口のうち、女性は15%、男性は10.5%でした。男女差は、2005年から2022年にかけてほとんど変化していません。

世界の失業率は女性と男性とで非常に似ていますが、これは失業の定義に使われる基準が不均衡に女性を排除する傾向にあるためと概況は分析しています。無償のケア労働を含む個人的・家族的責任が女性に不均衡にのしかかるからです。このような責任は、雇用だけなく、積極的な職探しや急な出勤への対応を難しくさせています。失業者とみなされるにはこれらの基準を満たす必要があり、仕事を必要とする多くの女性は失業率の数字には反映されにくいと概況は指摘しています。

ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)におけるジェンダーの不均衡は、雇用へのアクセスだけではありません。ぜい弱な雇用は女性にも男性にも広まりを見せていますが、ある種のぜい弱な仕事は女性に偏る傾向があります。例えば、女性は自営業よりも、家事をしたり、親族の仕事を手伝ったりすることの方が多い-などです。

このようなぜい弱性は、雇用率の低下と相まって、女性の収入に打撃を与えます。男性と比較した女性の相対的な労働所得を世界的に見ると、男性1ドルにつき、女性が受け取る額は平均51セントでした。この傾向は地域によって大きな差があり、低・中所得国では、労働所得の男女間格差はより深刻で、女性の収入は男性1ドルにつき低所得国で33セント、中所得国で29セントでした。高所得国、高・中所得国では、高所得国で58セント、高・中所得国で56セントでした。このような顕著な所得格差は、女性の雇用水準の低さと、雇用されている女性の平均所得の低さの両方が原因となっています。

ILOの今回の推計は、労働市場における男女間格差の開きに目を向け、女性の全体的な雇用参加を改善し、職種を問わず雇用へのアクセスを拡大すること、女性が直面する仕事の質における顕著な格差に対処することの重要性を示しています。

以上はジュネーブ発英文記者発表の日本語訳です。