男女間の賃金格差

医療・介護職女性の収入、男性より24%低く

記者発表 | 2022/07/15
ILOと世界保健機関(WHO)は13日、医療・介護業界の男女間の賃金格差について分析した最新の共同報告書 The gender pay gap in the health and care sector: A global analysis in the time of COVID-19  を発表しました。同業界で働く女性の収入は同様の男性に比べ平均で24パーセント低く、他業界に比べて男女間の賃金格差が大きいことがわかりました。

賃金格差の多くは原因が不明ですが、おそらくは女性に対する差別が原因であると考えられます。世界の医療・介護従事者のうち女性の割合は67パーセントです。他業種と比較した場合、医療・介護業界の賃金は全体的に低い傾向にあります。女性が多い業種では賃金が低くなることが多いというこれまでの調査結果と一致しています。

本書はまた、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行とその際に医療・介護従事者が果たした重要な役割にもかかわらず、2019年から2020年にかけて同一賃金という点でみられた改善はわずかであったとも述べています。

さらに、国によって男女の賃金格差に大きなばらつきがあり、この分野での賃金格差は必然ではなく、格差解消のために取り組む余地が大いにあることも示しています。それぞれの国内でみると、男女賃金格差は男性が過剰に存在する高賃金職種で拡大する傾向にあります。低賃金職種における女性の割合は高くなっています。

医療・介護分野で働く、子どものいる女性は、さらに大きな不利益を被っているとみられます。女性の妊娠・出産期には、男女間の雇用格差と賃金格差は著しく拡大しています。これらの格差は、女性が現役を退くまで続きます。報告書は、男女間の家事分担がより公平になれば、多くの場合で、女性の職業選択が異なる可能性があるとも指摘しています。

本書では、世界中の医療・介護セクターにおいて、労働市場における同じような属性を持つ男女で比べたときに、男性よりも女性の賃金が低い理由は労働市場の要因では説明できない部分がまだ多いと述べています。

以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。