ILO/UNICEF 共同報告書

「社会的保護を強化し、児童労働廃絶を」

記者発表 | 2022/05/18
ILOと国連児童基金(UNICEF)は18日、児童労働と社会的保護についての新しい報告書The role of social protection in the elimination of child labour: Evidence review and policy implicationsを発表しました。社会的保護の整備は家庭の貧困を解消し、脆弱性を低下させ、結果として児童労働の要因を減らすことにつながります。本報告書では、およそ15億人の子どもたちが世帯給付や児童手当などを受給できていないとし、このような社会的保護の網からこぼれ落ちている層を減らすべきだと訴えています。

本報告書では、2010年以降実施してきた調査研究で得られた根拠を挙げ、社会的保護によって家計や健康面の問題から生じる負担を軽くすることが、児童労働を減らし、学校教育を促進する、としています。

一方で、全ての子どもたちに社会的保護を保障するという点では、状況に大きな変化はみられないとし、世界中で0〜14歳の子どものうち、73.6%(およそ15億人)は世帯給付や児童手当などを受給できていない、と述べています。

ILO事務局長のガイ・ライダーは「全ての人々が広く享受できる社会的保護に投資すべき理由は数多くあります。中でも児童労働廃絶は、子どもの権利と福祉への悪影響を考慮すれば、最も重要な理由の1つとなるはずです」と述べています。

政府には、社会的保護を整備するための幅広い政策があります。政策立案者が断固たる行動をとらなければ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行、今なお続く紛争、貧困の増加、気候変動―などが児童労働を蔓延させ、状況は悪化の一途を辿ると報告書は警鐘を鳴らします。

世界中で1億6000万人以上の子どもたち(世界の5〜17歳の子どもたちの10人に1人)が依然として児童労働に従事しており、2016年以降、改善はみられません。この傾向は、コロナ禍の前から存在していました。今食い止めるための戦略を取らなければ、貧困と脆弱性は増大し、児童労働に就く子どもの数は2022年末にはさらに890万人増加する恐れがあります。

以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。