第109回ILO総会
第109回ILO総会閉幕:不平等と技能に関する活動の増大を第2部で呼びかけ

2021年5月20日~6月19日に開かれた第1部に続き、11月25日~12月11日に再びバーチャル形式で開かれた第109回ILO総会第2部は、不平等を縮小する活動を加速化し、技能と生涯学習を後押しする新たな戦略の策定をILOに求める決議を採択して閉幕しました。187ILO加盟国中181カ国から157人の大臣、副大臣、ハイレベル労使代表を含む約4,900人の政府及び労使団体代表、オブザーバーの登録があった第109回ILO総会第2部では、技能と生涯学習、不平等と仕事の世界の二つの一般討議議題がそれぞれ三者構成の作業部会で検討され、討議の報告書と結論が最終日に総会本会議で採択されました。
ILO加盟国が仕事の世界における不平等を縮小・予防し、誰も置き去りにしないよう確保する活動を加速化する助けになることを意図する不平等と仕事の世界に関する戦略は、1)雇用創出の促進、2)平等な機会の醸成、3)全ての労働者の適切な保護の確保、4)公式(フォーマル)経済への移行の加速化、5)男女平等と非差別の確保、平等・多様性・包摂の促進、6)普遍的社会的保護の実現、7)公正なグローバル化と繁栄の分かち合いに向けた貿易と開発の促進の七つの分野における活動の調整と組み合わせを伴うものとなっています。決議はILOに対し、新型コロナウイルス危機からの回復の過程で不平等に関する多国間の調整と協力の強化に、緊急に従事することを求めています。
総会はまた、2022~30年を期間とする技能と生涯学習に関する行動計画と、一貫性があり包摂的で性差に対応した戦略の策定をILOに求める決議も採択しました。この措置には、能力構築・助言サービス・プロジェクト活動の向上、好事例と知識のさらなる共有、関連する国際労働基準の促進、金融機関など他の機関とのパートナーシップ及び関与の増大などといった、この分野におけるILOの活動の強化を含むべきとされています。
閉会式で挨拶したガイ・ライダーILO事務局長は、ILO歴史上初めてバーチャル形式で開かれた今総会について「ILOの長い歴史の中でも比類ないもの」と称し、成功裏に議事が終了したことは、「ILOの機構としての完全性と継続性を確保し、新型コロナウイルスがたとえ何を私たちに投げつけ、それがたとえどんなに長くかかろうとも、ILOにはやり遂げる手段、そしてより重要なこととしてその決意があることを示すことになりました」と評価しました。さらに、6月の総会第1部で採択された「新型コロナウイルス危機からの人間を中心に据えた回復に向けた行動に対するグローバルな呼びかけ」について「政治的な決起を促す呼びかけ、そしてILOと加盟国政労使の両方にとっての行程表」と表現し、「今総会は非常に実質的な成果を達成した」と満足を示しました。そして、「一つの即時の、そして私が思うには決定的に重要な結果は、来年初めにおける大規模な多国間政策フォーラムの招集であり、これは私たちが大いに欲しており、切実に必要とされている回復に向けた国際システムの行動の整合性を高める真に戦略的な機会を提供するものとなるでしょう」と説明しました。
今年の総会は第1部も第2部もバーチャル形式で開かれたにもかかわらず、議題を全てこなすことができました。第1部では、2日間にわたるハイレベルの仕事の世界サミットが開かれ、コロナ禍からの人間を中心に据えた回復を形成するための措置の概略を示す「行動に対するグローバルな呼びかけ」が採択されました。社会的保護や新型コロナウイルスの影響に関する討議も行われました。また、ミャンマーの情勢に関する緊急決議や2022/23年のILOの事業計画・予算、基準適用委員会の報告書も採択されました。
2022年の第110回総会は来年5月30日~6月10日に開かれる予定です。
以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。