児童労働
荻野目洋子さんが児童労働に関する楽曲提供を中心にILOのディーセント・ワーク広報活動に協力

日本の著名なシンガーソングライターである荻野目洋子さんがILOのディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)広報活動に協力してくれることになりました。ILO駐日事務所と荻野目さんの間で本日締結された協力合意書に基づき、児童労働に関する楽曲提供を中心とする協力活動が開始されます。
ILOはすべての人にディーセント・ワークを達成することを21世紀の活動目標に掲げています。ディーセント・ワークとは、就労に関わる権利が保護され、社会保障や労働安全衛生が確保され、労使の対話が保障された仕事のことを指しています。
国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」は17の持続可能な開発目標(SDGs)と169のターゲットで構成されています。その目標8に「持続可能で包摂的かつ持続的な経済成長、生産的な完全雇用及びすべての人々のディーセント・ワークの促進」が掲げられています。目標の進捗状況を測定する指標の一つであるターゲット8.7は、強制労働を根絶し、現代の奴隷制と人身取引に終止符を打ち、児童兵士の利用や子どもの徴兵を含み、最悪の形態の児童労働の禁止と撤廃を確保し、2025年までにあらゆる形態の児童労働をなくす即時の効果的な措置をとることを各国に求めています。国連はこのターゲットの達成に必要な行為を政府に求めることを目的として、2021年を児童労働撤廃国際年に指定しました。
ILOは児童労働反対音楽イニシアチブを通じて、児童労働との戦いに音楽またはコンサートを捧げることを世界中のミュージシャンに呼びかけています。ILO駐日事務所は、児童労働撤廃国際年を機に、仕事の世界が直面している課題、特に児童労働の問題に対する日本国内における認識を高めるため、ご家族がILOで働いていた荻野目洋子さんに、アドボカシー・キャンペーンへの協力を要請しました。
「この度、ご縁があってこのような形でILOの皆様と一緒に活動させて頂くこととなり、とてもうれしく思います。世界の労働問題に取り組む父の姿を子供の頃から見ていましたが、労働に従事する子ども達が世界中に1億6千万人もいるといわれている現実に、自分自身も子を持つ母となった今、深刻な思いでいっぱいです。1人でも多くの方に知ってもらえるお手伝いが音楽を通して出来ればと感じています」と、荻野目さんは語っています。
この協力活動は、世界中のアーティストの協力を得て展開されているILOの広報・啓発プログラム「アートワークス(ArtWorks)」の枠内で実施されます。予定されている活動には、児童労働とディーセント・ワークの課題について人々の意識を高めるための楽曲とそのミュージックビデオの制作、様々なメディアを通じた児童労働やディーセント・ワークの課題についての訴えかけ、各種パートナーとの協力によるイベント開催などが含まれています。ArtWorksのサポーターは、米国のシンガーソングライターのファレル・ウィリアムスさんや映画監督のオリバー・ストーンさん、俳優の渡辺謙さんなど、スポーツ、エンターテインメント界を中心に100人あまりに上ります。
「国連は2025年までに児童労働をなくす目標を掲げていますが、コロナ禍の中、逆に増えていると懸念されています。ILO駐日事務所では、来年開催が予定されている第5回児童労働世界会議や第8回アフリカ開発会議(TICAD8)と連動した広報啓発活動など、この目標の達成に向けた様々な活動を予定しています。今後の荻野目さんとの協力活動が楽しみです」と、高﨑真一ILO駐日代表は期待を示しています。