日本の任意資金拠出事業

小規模企業の安全な職場復帰に焦点を当てたILOと日本のイニシアチブが発進

 ILOと日本政府が協力してこの度開始されるプロジェクトは、より安全で、よりデジタル化された生産的な職場を通じて、中小企業及びその他生計維持活動を支援します。これによって、職場における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の予防と、フィリピン経済及び雇用への悪影響の緩和を目指します。

記者発表 | 2021/07/15
フィリピン国ラグナ州の衣料品工場で働く女性労働者 © ILO / E. Tuyay

【マニラ発ILOニュース】企業や労働者が長引くコミュニティ隔離措置がもたらす結果に対処し続けている中、ILOと日本政府は本日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)の影響を受けている中小・零細企業を支える新たなプロジェクトを開始しました。

新型コロナウイルス感染症対策としてロックダウン下にあるフィリピンで働くコンビニ店員 © ILO / M. Rimando

 この新しい「新型コロナウイルス危機下にあるフィリピンで仕事を安全に復活させよう:中小企業とインフォーマル・ビジネスの安全でデジタル化された再起動プロジェクト」は、企業がより厳しい地域封鎖(ロックダウン)に戻ることなく、安全に事業を再開し、操業できるよう、中小・零細企業の職場の安全性と生産性を高めることを目指しています。

 「深刻な打撃を受けた産業部門の企業や労働者は苦闘されています。やっとのことで生き残っているところもあれば、操業を停止してしまったところもあります。新型コロナウイルスの影響対処を支援し、より良くより安全な立て直しを図る緊急措置が決定的に重要です。人々が自分の町で安全かつ人間らしく働きがいのある仕事を得られるよう手助けする必要もあります」とカリード・ハサンILOフィリピン国別事務所長は説いています。

 日本政府から220万ドルの任意資金拠出を受けて実施されるこの1年間のプロジェクトは、中小・零細企業の労働者の安全と健康の改善を助けるものとなる予定です。国内の中小・零細企業のみならず、インフォーマル・セクターも巻き込み、コロナ禍のリスクが依然高く、支援が限られている地方・非都市圏を対象とするこのプロジェクトは、新型コロナウイルスの予防及び影響緩和に資することが期待されます。

 越川和彦駐フィリピン日本国大使も「中小・零細企業は経済回復にとって決定的に重要です。『新常態(ニューノーマル)』の環境の中で仕事と企業を支えるには労働安全衛生を最優先事項とすべきです。これには安全な職場復帰の確保、業務のデジタル化、職場の安全性と生産性の向上などが含まれます」と指摘しています。

新型コロナウイルス感染症対策としてのロックダウンが始まった頃の果物販売風景 © ILO / M. Rimando

 国内事業所の99%以上を占める中小・零細規模の登記企業は140万社を数え、フィリピン経済の支柱となっています。中小・零細企業は労働者の10人中約7人を雇用し、国内総生産(GDP)の4割に寄与しています。このように重要な中小・零細企業とそこで働く人々は長引くコロナ禍の影響に非常に苦しんでいます。加えて、コロナ禍の長引く影響に対処するために、インフォーマルな事業や就労形態に戻らざるを得ない人々も大勢います。

 新たに始まるプロジェクトは、国家雇用回復戦略(NERS)を初めとする現下の新型コロナウイルス総合対策の下で政府、労働者、使用者の取り組みを支援し、またディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)をフィリピンの全ての人に達成することを目指すディーセント・ワーク国別計画(DWCP)の執行に寄与します。特に地方の中小・零細企業の操業の安全性とデジタル化の向上を通じて、フィリピンの主要な政策や事業計画を補完することを目指します。ILOの「全ての人の安全健康旗艦計画」の一部として、新型コロナウイルス対応におけるILOの四つの政策分野(経済・雇用の刺激、企業・雇用・収入の支援、職場の労働者保護、社会対話に頼った解決策探求)に沿った活動が提供されます。NERSの戦略枠組みも以上の諸原則及び政策分野を基盤としています。

 プロジェクトはフィリピンの労働・雇用省、情報通信技術省、貿易産業省、国家貧困対策委員会(NAPC)、国内労使団体などのパートナーと協力して実施される予定です。

新型コロナウイルス感染症対策としてのロックダウン下で地方から品物を配達中 © ILO / M. Rimando

お問い合わせ先:

ILOフィリピン国別事務所
企業開発専門官 籠橋 秀樹
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ILOフィリピン国別事務所
メディア・広報担当官(Media and Public Information)
ミネット・リマンド(Ms Minette Rimando)
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 以上はマニラ発英文記者発表の日本語訳です。