日本繊維産業連盟サステナビリティセミナー開催報告

高﨑駐日代表 発表概要「中小企業のサステナビリティ(生き残り)戦略とは‐ILOの視点から-」

ニュース記事 | 2021/06/01
2021年5月19日、「サステナビリティセミナー」(日本繊維産業連盟主催)にてILO駐日代表高﨑真一が登壇しました。

2011年の国連「ビジネスと人権に関する指導原則(UN Guiding Principles on Business and Human Rights、以下「指導原則」)をきっかけに、企業が人権を尊重する責任について国際的な関心が高まっています。SDGsの浸透とともに消費者意識が高まる中、繊維・アパレル業界は人権リスクが高いとして、社会から厳しい目を向けられがちです。特に日本の繊維産業においては外国人技能実習生の労働環境について問題が指摘されることも多く、社会や取引先から人権への対応を求められるケースが増えてきています。

本セミナーでは、「ビジネスと人権」に関する国際的な動きを踏まえ、日本の繊維産業が直面しているリスク、中小企業が求められている対応とその取組意義などについて、ILOの視点から説明をしました。

当日は連盟に加盟する団体・企業、関係省庁などから、たくさんの方々にご参加いただきました。

【セミナー概要】

日時:2021年5月19日(水)14:00-15:00
会場:ウェビナー(WEBセミナー)
※ 新型コロナウイルス感染拡大防止のため急遽ウェビナーとして開催
テーマ:中小企業のサステナビリティ(生き残り)戦略とは‐ILOの視点から-
登壇者:ILO駐日代表 高﨑 真一
主催:日本繊維産業連盟
共催:ILO駐日事務所
参加費:無料
定員:80名
対象:日本繊維産業連盟に加盟している企業・団体など

【発表概要】

「ビジネスと人権」に関する国際的な動きを形作る大きなきっかけとなった国連の「指導原則」では、企業が直接の当事者として関わる人権リスクのみならず、サプライヤーなど第三者を通じたサプライチェーン上の人権リスクにまで企業が責任を負うとされています。企業はサプライチェーン全体に対し「人権デューデリジェンス」を行い、人権侵害のリスクを特定し、予防策や軽減策を講じることが求められています。人権デューデリジェンスでは、人権に関する方針の策定、企業活動が人権に及ぼす影響の評価、是正措置、パフォーマンスの評価や開示などが含まれます。

世界のサプライチェーンマネジメントの動きとして、バングラデシュのラナプラザビル崩壊後に発足したアパレル企業のプラットフォーム「Accord on Fire and Building Safety in Bangladesh」についてご紹介しました。Accordでは現地のサプライヤーの労働安全衛生への取り組みを推進させる為、監査やトレーニング等を実施します。もしサプライヤーが要求されている措置を拒絶した場合は、プラットフォームに参加するアパレルブランドとの取引が停止される仕組みです。

日本企業においても、サプライチェーンマネジメントの取組みが拡大しつつあります。特に日本の繊維産業では外国人技能実習生の労働環境などが問題視されており、不買運動に繋がる例もありました。それを受けて、大手企業がサプライヤーに対して行動規範への遵守を求めたり、アンケートや実地調査を行ったりするケースも出てきています。またサプライチェーン全体の従業員を対象とした苦情処理窓口を設置する大手小売りチェーンが出てくるなど、日本企業の取り組みも徐々に広がってきています。

具体的に企業が求められている行動規範については、強制労働、労働時間、賃金と福利厚生、差別など、特に外国人技能実習生に関連するテーマに関し、コンプライアンス違反の事例やチェックすべき項目についてご説明しました。

社会や取引先からの要請が強まる中、人権への対応を含めたサステナビリティへの取組を行うことは、企業イメージの向上、人材確保、取引の維持・拡大といったメリットにも繋がります。企業の持続可能な成長に向け、経営戦略の一つとして取り組んでいくことが重要です。

最後に、ILO駐日事務所は労働問題を扱う国際機関として中立的な立場で、各種業界団体や連盟を通じて、日本企業のビジネスと人権への取り組みを積極的にサポートしていく方針であることを示しました。

ILOコンサルタントの田中里枝氏から本講演の実施その他の側面で多大なご支援をいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。