2006年の海上の労働に関する条約

海上の労働に関する条約特別三者委員会第4回会合:船員の権利の全面的な尊重と船員に対するワクチン接種を呼びかけ

記者発表 | 2021/04/29

 2021年4月19~23日の日程で、100人以上の政府、船員、船舶所有者の代表が参加してバーチャル形式で開かれた海上の労働に関する条約特別三者委員会の第4回会合新型コロナウイルスの世界的大流行が海事部門に与えている影響を検討し、船員を基幹労働者扱いすること、そして船員が国境を通過してグローバル・サプライチェーン(世界的な供給網)を動かし続けることを許すためにできるだけ早期にワクチンが得られるように協力することを各国政府に求める2本の決議などを採択して閉幕しました。

 船舶所有者グループと船員グループが共同で提出した「新型コロナウイルスの世界的大流行の中での『2006年の海上の労働に関する条約』の実施と実際的な適用に関する決議」は、船員を基幹労働者に指定してそのように扱い、自国あるいは居住地と職場の間の移動、陸上での医療及び上陸許可を得られるよう確保するあらゆる必要な措置を講じることを改めて各国に呼びかけています。さらに、船員が本人の同意なく船員雇用契約に記されている期間を越えて船上に留まることを求められないよう確保するあらゆる必要な措置を講じることを求め、この期間はどんな環境の下でも決して「2006年の海上の労働に関する条約」に規定されている最長勤務期間を越えないようにすることを求めています。

 キプロス政府から提出された「船員に対する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン接種に関する決議」は、各国のワクチン接種計画に従い、世界保健機関(WHO)の緊急使用リスト(EUL)に掲載されているワクチンを自国領土内の港湾を訪れている船舶上の船員に得られるようにすること、そして港湾内に船員のためのワクチン接種ハブを設けることを検討するよう求めています。さらに、他国で船員に投与されたワクチンを受け入れることや船員団体及び船舶所有者団体と協議の上、WHO及び国際海事機関(IMO)と協調を図り、陸上におけるワクチン接種の機会を円滑化する船員のための国際計画を設けることの検討を奨励しています。

 特別委員会はまた、「2006年の海上の労働に関する条約」に基づく船員の権利の全面的な尊重を回復する行動についても合意し、国連の機関間タスクフォースを招集し、新型コロナウイルスの世界的大流行が船員の基本的な権利や海運産業に与えている影響なども含み、コロナ禍の中でのこの条約の実施と実際的な適用を審査することを求めました。

 船員に関する国際労働基準の多くが「2006年の海上の労働に関する条約」によって改正されましたが、特別委員会は30本以上の海事労働基準についてその状態に関する勧告を行い、2030年までにこの大半をILO総会で廃止して「2006年の海上の労働に関する条約」を海事分野の最新のILO文書とすることを提案しました。

 英国政府代表のジュリー・カールトン特別三者委員会委員長は、委員会が海事関連の国際労働基準の見直しを完了し、新型コロナウイルスによる制限のためにこの1年にわたって船員が直面してきた困難の緩和を目指す2本の貴重な勧告を採択したことを挙げ、「直接会うことはかなわなかったけれども、生産的な会合」であったとの感想を述べています。船舶所有者を代表して、ドイツのマックス・ヨーンス船舶所有者代表は、この2本の決議について、「商品、とりわけ食料や医薬品の世界的な供給が妨げられないよう確保する唯一の手立てとしてできるだけ早期に船員のワクチン接種を達成するという野望の明確な表明」と説明しています。さらに、船舶所有者は「『2006年の海上の労働に関する条約』とそのあらゆる条件がどんな状況下でも適用されるよう期待している」と述べています。船員を代表して発言した英国のマーク・ディッキンソン船員代表は、「歩みや過程の点だけでなく、この産業における船員の重要性を目に見える形で認めた点で重要な2本の決議」を採択したこの会合について、「この新型コロナウイルスの世界的大流行における過ちから学び、違いをもたらす決意をもって教訓を学ぶ過程を始動させた」と評価しています。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。