国際マザーアース・デー

より環境に優しい未来に向けてより良い労働力を築くために気候教育に投資を

記者発表 | 2021/04/22
誰にとってもためになるグリーン経済(英語・1分24秒)

 気候と環境に関する基礎能力は、雇用創出や環境に優しいグリーン消費市場の構築を助け、気候変動に関して市民が政府とより良く関与することを許す可能性があります。国際マザーアース・デー(4月22日)に際し、ILOは気候教育と啓発活動を支援する必要性などの気候変動に関する緊急の世界規模の行動を呼びかけるものです。

 二酸化炭素の排出量と吸収量がバランスしたカーボン・ニュートラルな経済への移行には、新たな技能、訓練、資格が求められます。多くの新しい仕事が登場する一方で、適応を迫られるものも出るでしょう。これは気候教育を現在及び将来の労働力の優先事項の一つと化し、各国はこれに緊急に対処する必要があります。

 国際デーに際し、ガイ・ライダーILO事務局長は次のように語っています。「気候変動の影響によって雇用構造には変化が訪れ、新たな仕事や職種が生まれる一方で、消滅したり、持続不能になるものもあるでしょう。企業は異なる作業編成や生産方法を見つけなくてはならないでしょう。この変化する世界に向けて若者を備える必要があります。環境教育は学生が気候危機を解決し、明日の環境運動を率いる技能、楽観的な考え、決意を育む力を与える可能性があります」。

 ライダー事務局長はまた、「現在のそして新たな世代に持続可能な未来を保障するグリーン経済に向けた公正な移行」を達成するカギを握るものとして、「環境教育と啓発活動」を挙げ、国際デーに際して環境教育の問題に光を当てたことについて、earthday.orgとそのパートナーである国際労働組合総連合(ITUC)と教育インターナショナル(EI)を評価しています。

 気候変動に基づく気温上昇は2030年までに8,000万人分の仕事の消失につながる可能性があるとILOでは推定しています。最も打撃を受けるのは貧困国です。気候変動に取り組む野心的な行動を取ることによってより多くのより良い仕事が生まれる可能性があり、エネルギー部門における措置を通じて2030年までに正味で1,800万人分の仕事が創出される潜在力が秘められています。

 企業は十分な訓練を受け、生産における炭素強度を削減するような適正な技能集合を備えた労働者が必要になるでしょう。挑戦的な新たな科学技術や技術の変化に向けて労働者を備えるため、職場を環境に優しい移行について継続的に学ぶ場にするよう投資する必要があるでしょう。

 社会対話もまた、急速に変化する仕事の世界において社会的保護を確保し、労働者の流動性を促進するための職業技能訓練における円滑な転換を確保するのに必要不可欠な手段です。

 適正な教育手段のみが気候変動の課題に対応できるよう現在及び将来の労働力を備えることができるため、2021年11月に英国で開催される予定の国連の第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)は、気候に関する基礎能力の重要性を強調する大切な時になると考えられます。

 ILOは2021年の国際デーを記念して、4月19~23日をILOグリーン週間として、環境に優しい仕事の未来に関する一連のイベントを開催しています。創立100周年に向けた重点活動分野として掲げた七つのイニシアチブの一つであるグリーン・イニシアチブを通じて、よりグリーンな経済と持続可能な未来に向けた公正な移行を管理するILOの能力、知識、政策対応のスケールアップを図りました。この分野におけるILOの活動の詳細については、グリーン・ジョブのテーマ別ページをご覧下さい。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。