セミナー報告

ILOキャリアセミナー「これからの国際⼈材に期待されること〜コロナ禍のSDGsとDecent Workの推進」

本ウェビナーは、外務省、ILO駐日事務所共催、日本ILO協議会後援で開催されました。第1部は、3名のパネリストを迎え、「これからの国際人材に期待されること~コロナ禍のSDGsとDecent Workの推進」について議論を行い、第2部ではILOが求める人材やJPO等の採用の仕組みについて説明しました。

ニュース記事 | 2021/01/28

 
本ウェビナーは2021年1月22日にオンラインで開催され、400名を超える学生や社会人が参加しました。参加者のうち、学生が5割、社会人は4割でした。今回のオンラインセミナーでは、新型コロナウィルス感染拡大を受け、仕事の世界に携わるILOの活動が注目される中、ILOで活躍する日本人職員や、ILOのプロジェクト実施パートナーである国際的なNPOの活動について、参加者が知見を深め、国際機関、特にILOでの就職を検討する情報提供を目的としました。

第1部では、3名のパネリストを迎え、「これからの国際人材に期待されること~コロナ禍のSDGsとDecent Workの推進」についてパネルディスカッションを行い、第2部ではILOが求める人材やJPO等の採用の仕組みについて説明しました。各セッションでの質疑応答も多数の質問が寄せられ盛況のうちにセミナーは終了しました。
 

冒頭、司会進行の高﨑真一 ILO駐日代表のILO紹介の後、松居眞司 外務省専門機関室長の挨拶によりウェビナーは幕を開けました。その後、以下3名のパネリストによって、1時間ほどパネルディスカッションが行われました。
  • 木村 亮  認定NPO法⼈ 道普請⼈(CORE)理事長
  • 坂本明子 ILOアジア太平洋地域総局 技能・就業能力専門家
  • 渡邉友基 ILO雇用政策局 開発投資部 雇用集約型投資プログラム(EIIP)ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)
主に3つのテーマが取り上げられました。

1つ目は「内から見た外から見た、国際機関で働くことの魅力」についてです。

坂本氏は、①国際協調が必要とされる課題に直接関われること ②文化や人種、考え方や専門分野も異なる人々と働けること、という2点を挙げました。

渡邉氏は、ガンビアでの道づくりを通じた若者の雇用創出事業を例に挙げ、①途上国のバイタリティ溢れる若者を後押しできること ②成果が形になって現れること ③一過性の支援に終わらないよう、政策レベルでのサポートができること、の3点を強調しました。

最後に、木村氏は、ILOが50年以上もアフリカでの雇用創出や雇用創出者の育成に携わっている点、そして、自身のNPOと同様に、「自分たちの問題は自分たちで解決できるということに気づいてもらい、次の発展への体力づくりをしてもらう」ことを大切にしながら開発協力の現場に携わることが出来る点について言及しました。

2つ目は「開発協力おけるILOの強み」についてです。

渡邊氏は3点を強みとして説明しました。1つ目は人生において重要なテーマである「仕事」に国際的な枠組みに基づいて取り組むことができる点です。特にセーフティネットの整っていない途上国の失業者への支援として、公的資金を使った雇用創出はILOの重要な役割の1つです。2つ目は、長期的な開発協力を見据えた取り組みができる点です。コロナ禍においては民間での雇用創出が難しいからこそ、公共投資を通じてディーセント・ワークを生み出し、失業者の技能開発や社会インフラの整備につなげ、最終的に民間での雇用創出を目指すといった取り組みをILOは進めています。最後に、ILOでは「仕事」を通して緊急支援(社会保障など)と長期的支援(技能やスキルの開発など)を橋渡しできる点を3つ目の強みとしました。

木村氏は、道路づくりやインフラ整備を通したILOの雇用集約型投資プログラム(EIIP)が、国や労働をつくる根幹部分に具体的にアプローチしていることを取り上げ、結果的に支援国の災害からの復興力(レジリエンス)向上などにもつながると述べました。

最後のテーマは「これからの国際人材に期待されること(日本人としての強みと、克服すべき弱点)」についてです。

木村氏からは、日本人の強みとしての粘り強さや「必ずやってくれる」という信頼感、前向きな仕事への姿勢が挙げられた一方、仕事を楽しむ気持ちと前に出る姿勢がより必要だとの指摘がありました。

坂本氏も必要な力として、新しい環境や状況に飛び込んでいく行動力や発信力を挙げました。さらに、ILOでは実務経験が非常に重要であることから、長いキャリアの中で様々な経験を生かす場として、国際機関を選んでもよいのではないか、というコメントがありました。

国際機関の事務局での勤務経験のある外務省の松居専門機関室長からは、好奇心や人間関係の構築が重要であり、自らコーヒーカップ片手にオフィスを歩き回り、役割を担っていく積極性が求められるという話がありました。

その後の質疑応答では、ILOでのキャリアと家庭の両立に対するサポート意識の高さや、学生のうちから発信や情報収集を積極的に行うことの大切さ、留学を含めた様々な経験をすることがキャリア形成においても重要であることなどが言及されました。

第2部では、ILOが求める⼈材やキャリアパス、採⽤の仕組みについて3名の発表者を迎え、説明がされました。1人目は、ILO本部のアンドレ・ボギ人材開発局長です。ビデオメッセージ(日本語字幕付き)で参加し、ILOでの採用に不可欠な資質として、中核的な価値観や優れた言語能力を挙げ、具体的な採用方法やインターンシップ機会についても言及しました。

アンドレ・ボギ氏のビデオメッセージ



その後、外務省の村林弘文 国際機関人事センター室長より、国際機関で求められる専門性とは何か、また、JPO制度を含む国際機関に就職する方法などについて話がありました。そして、ILO本部人材開発局の伊藤美保子 人事担当官がILOのインターンシップ、職員採用、UNボランティアの受け入れについてより詳しく説明し、最後に「決して諦めないこと」が重要という応援のメッセージを参加者に送りました。質疑応答では、履歴書の書き方のコツについて伊藤人事担当官が具体的なアドバイスをしました。

閉会の挨拶では、外務省の松居専門機関室長から、好奇心や疑問の扉を開き続けることで専門性は構築され、キャリアが形成されるからこそ、想像力と創造力をたくましくして前進してほしいという言葉が参加者に贈られ、閉会しました。

イベント後のアンケートには参加者の半数を超える220名が回答し、そのうちの9割近くがとても満足、または満足と回答しました。
 

当日、時間の関係上、回答できなかった主な質問にお答えいたします。こちらをご覧ください。