G20首脳会合

生計保護に向けたG20諸国の引き続きの公約をILOは歓迎

記者発表 | 2020/11/22
G20リヤド・サミットに参加したガイ・ライダーILO事務局長

 2020年11月21~22日にオンライン形式で開かれた、日本を含む主要20カ国・地域(G20)の首脳会合G20リヤド首脳宣言を採択して閉幕しました。会議に出席したガイ・ライダーILO事務局長は、得られるあらゆる政策手段を用いて、人々の命、職、収入を守り、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的大流行からの全世界的な景気回復を支援することに向けたG20首脳の公約を歓迎しました。また、この状況の深刻さに鑑み、世界経済に必要なものとして、「変化から利益を得る人々の能力を強化し、誰もが適正に保護されるよう仕事に関連した制度・機構を補強し、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)が全ての人に実現されるよう、未来の仕事を後押しするような、人間を中心に据えた回復に向けた投資」の必要性を強調しました。

 宣言は、社会的保護、社会対話、そしてとりわけ女性と若者の働きがいのある人間らしい仕事に重要性を付しています。コロナ禍は男女平等に関して最近達成された歩みの一部を後戻りさせているため、ライダー事務局長は、宣言が表明している、男女賃金格差の縮小に向けた取り組みのステップアップを図り、男女間で不平等な無償労働とケア責任の分担の問題に取り組み、女性の労働力率を引き上げるとの公約を歓迎しつつも、2025年までに労働力率における男女間格差を25%縮小するとのG20ブリスベン・サミットで出された目標を達成するには、やるべきことがまだ多く残っていることを指摘しました。

 サミット初日に演説し、「保健緊急事態と共に、私たちは未曾有の規模の雇用危機に直面しています」として、コロナ禍のために2020年第3四半期に世界全体でフルタイム換算で3億4,500万人分に相当する仕事が失われ、うち2億2,500万人分がG20諸国におけるものであり、最も深刻な打撃を受けている人々の多くが若者であることに注意を喚起したガイ・ライダー事務局長は、労働市場から永久に排斥されてしまう危険性が最も高い若者の数を2025年までに15%削減するというG20アンタルヤ・ユース・ゴールを支持するG20青少年ロードマップ2025が首脳宣言で承認されたことを歓迎しました。

 首脳宣言はILOの推計を引用し、危機時にG20諸国で実施された社会的保護措置の一時的な拡大が6億4,500万人近い人々の暮らしを支えたことに言及していますが、初日の演説の中でライダー事務局長はそのような仕事と暮らしの保護に向けた大規模な社会的保護措置を下支えした財政刺激策を評価した上で、「人々の労働市場との結びつきを維持することによって失業の激増を回避し、経済不活動の長期的な損害を最小限に留めるためにも、今度はそのような措置を必要な規模で維持し続けることが決定的に重要」と強調しました。そして、深く根を下ろした構造的な不平等を露呈させた危機の間に多大な苦難を被った非公式(インフォーマル)経済で働く人々に社会的保護を広げる必要性を指摘しました。さらに、より貧しい国は十分な資金を欠き、総合的財政刺激策も雇用への打撃を最小限にしか埋め合わせていないことに注意を喚起し、「この景気刺激策の必要を埋めるG20諸国からの金融支援は危機との戦いに決定的に重要な違いをもたらし、国際協力と連帯の価値を真に示すことになるでしょう」と訴えました。

 ライダー事務局長は地球規模の危機には地球規模の対応が求められるとして、経済・雇用の刺激、企業・職・収入の支援、全ての人の社会的保護・健康保護の確保、社会対話の活用という、ILOの提案する4本柱の対応策を示した上で、2021年の総会で人間を中心に据えた危機回復に向けた対応策について議論する予定であることを紹介しました。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。