G20労働・雇用大臣会合

新型コロナウイルス危機からの包摂的で雇用に焦点を当てた回復に向けたG20諸国の労働・雇用大臣らの公約をILOは歓迎

Press release | 10 September 2020

 サウジアラビア政府が主催して2020年9月10日にバーチャル会合として開かれた、日本を含む主要20カ国・地域(G20)の労働・雇用大臣会合で、女性と若者を中心とした全ての人のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を促進する、新型コロナウイルス(COVID-19)からの雇用中心回復計画に向けた公約がなされたことを自らも会合に参加したガイ・ライダーILO事務局長は歓迎しました。

 2020年第2四半期の世界の労働時間の減少幅がフルタイム労働者換算で4億人分の仕事の消失に相当し、非公式(インフォーマル)経済で働く16億人超の労働者や若者、女性、障害者が特に深刻な打撃を受けているという前代未聞の世界的な労働市場の大混乱を背景として開かれた今回の会合は、実効性があり、包摂的で持続可能な対応措置の構築における政策の整合性を確保するために社会対話を活用し、他の省庁とも協働するとの決意を再確認する宣言を発表して閉幕しました。

 ガイ・ライダーILO事務局長は会合で、世界の労働市場の動向、新型コロナウイルスの影響、2025年までに労働力率における男女間格差を25%縮小するというG20ブリスベン目標の達成に向けた進捗状況のそれぞれについて最新の状況を報告しました。

 事務局長は、「G20諸国が新型コロナウイルスの労働市場及び社会に対する影響に応えるため、調整を図った大規模な措置を講じることが決定的に重要で急務」と指摘した上で、正にそのような公約がなされたことに満足の意を示し、「必要なのは地球規模の連帯、公約、ビジョン」と強調しました。そして、「G20諸国は新型コロナウイルスによって露わになった不平等に対抗する政策を採用し、人々が求めている、より良く、より公正な仕組みの基盤を形成するまたとない機会」を有することを指摘しました。

 ウイルス流行の影響を不均衡に大きく受けている若者と女性の問題に特に焦点を当てる閣僚宣言は、若者、とりわけ若い女性が労働市場に加わり、良質の就労機会を見つけることへの支援を強化し、労働市場で恒常的に置き去りにされる危険性が最も高い若者の割合を2025年までに15%減らすというアンタリヤ若者目標の達成に向けた努力を倍加することを公約しており、この目的のためにG20諸国が進むべき2025年までの若者行程表を採択しました。さらに、G20ブリスベン目標の達成に向けたさらなる取り組みの必要性を認め、最近見られる女性の労働力率の低下が構造的なものとならないよう確保し、男女平等と賃金の公平性の前進を図ることも公約しています。これについてライダー事務局長は、「今回の危機が女性に不平等に大きな影響を与えていることは既知の事実」とし、近年ようやく達成された男女平等に向けたささやかな成果が消失してしまう可能性が高いことに注意を喚起し、「男女間格差を解消し、女性企業家を支え、労働条件の改善を図り、介護や保育といったケア経済を後押しする資金投入と対象を定めた政策」の必要性を訴えました。

 宣言はまた、社会的保護の貴重な役割に光を当て、「新型コロナウイルスの世界的大流行は、全ての労働者とその家族を支える強固な社会的保護制度の必要性を強めることになった」と記し、女性、若者、自営業者、プラットフォーム経済で働く人々や自己勘定で働く個人事業主、インフォーマルな就業者を含む「全ての人に十分な社会的保護の機会を提供するために、社会的保護制度の適応・改善」を図ることを公約しています。ライダー事務局長はこれについて、「社会的保護は信じられないほど強力な手段であり、世帯収入を保護するだけでなく、消費を支えることによって仕事を守り、不平等を縮小させ、強靱性を育む」と説明し、全ての人を対象に含むよう社会的保護の拡大・強化を支援するとのG20諸国の公約を歓迎し、最近数カ月の間に導入された社会的保護の一時的な拡大を持続可能で包摂的な長期的仕組みに転換する道を探す必要があると説いています。

 閣僚宣言ではまた、とりわけグローバル・サプライチェーン(世界的な供給網)及びデジタル経済において「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」と2019年に採択された「仕事の未来に向けたILO創設100周年記念宣言」の促進に向けた公約が再確認されました。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。