新型コロナウイルスと労働者保護

船員を助け、乗組員の交代を容易にするシンガポール港の新たな措置をILOは歓迎

記者発表 | 2020/09/01
新型コロナウイルスによって荒波に揉まれる世界の海運・漁業(英語・58秒)

 現在、新型コロナウイルス(COVID-19)の封じ込め措置の影響を受けて、世界全体で最大30万人の船員が乗船契約期間終了後も陸に戻れずにおり、同じ数の交代要員が陸上で乗船できるようになるのを待っているとみられます。この状況に応えるものとして、この度シンガポール港で、ウイルスの流行期間中に同港で乗下船する乗組員の健康と福祉を守り、安全な港湾運営を確保し、公衆の健康を守ることを目指した新たな措置が導入されたことをILOは歓迎します。

 シンガポール海事港湾庁(MPA)が2020年9月1日に開所した、独立自給式の船員交代円滑化センター(CFC)は、敷地内に医療センター、検査・収容施設を備え、乗組員は乗船の48時間前からこの施設を利用することができます。これによってシンガポール港は、船舶と地元社会の両方を保護しつつ、より多くの乗組員の交代を可能にすることが期待されます。交代手続きも合理化され、リスクが低い国や地域の出身船員については、シンガポールにおける乗船前に求められている隔離期間が短縮されます。

 さらに、海洋国の利害関係者が出発前検査センターや乗組員収容施設などの乗組員の安全な交代を支えるその他の具体的な措置を開発・導入するのを支援することを目的として100万シンガポールドル(約7,800万円)の基金が設立されます。シンガポール海事港湾庁、シンガポール海運協会、シンガポール船舶職員組合、シンガポール船員団体の政労使三者が資金を出しあって設けられたこの基金には、ほかの利害関係者にも参加が呼びかけられています。

 ガイ・ライダーILO事務局長は、多くの船員が既に数カ月、そしてある者は1年以上も船上に取り残される状態が続き、ストレスと疲労にさいなまれており、一方で準備ができているのに交代できない乗組員も存在するといったこの船員の状況は「ますます懸念される事項」であると指摘した上で、シンガポールの海事港湾庁、組合、産業団体という政労使三者の社会対話の成果物であるこの新しい措置について、「船員と一般の人々を守りつつ、交易を継続させるために取り得る措置の好例」と評価しています。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。