ILOアルゼンチン事務所開設50周年

ライダー事務局長も参加してILOアルゼンチン事務所開設50周年を祝う「アルゼンチンとILOは社会正義を伴った未来を構築できる」

記者発表 | 2019/12/10
ILOアルゼンチン国別事務所開設50周年記念式典におけるガイ・ライダーILO事務局長

 今年はアルゼンチンの首都ブエノスアイレスにILOの事務所が開設されてから50年目に当たることから、2019年12月9日にガイ・ライダーILO事務局長も出席してブエノスアイレス市内で開設50周年記念式典が開かれました。式典において事務局長は、アルゼンチンが42のILO原加盟国の一つとして1919年の創立当初からILOと共に歩み、ILO誕生の瞬間、その創立年、最初のILO総会から既に顕著な存在感を示し、ILOの歴史の過程で常に重要な役割を演じてきたことを振り返りました。その上で、アルゼンチン国別事務所が開設された1969年はILOがノーベル平和賞を受賞した年であっただけでなく、アルゼンチンでも軍事独裁政権に対する市民蜂起があった特別な年であり、ILOの存在が命を救った人々も存在したことを挙げ、同国の近年の民主化と労働に関する基本的な権利の尊重を評価しつつ、ILOの事務所が果たしてきた役割をとても誇らしく思っていると述べました。そして、生産・労働省やアルゼンチン産業連合(UIA)、労働総同盟(CGT)の代表を始めとする300人以上の式典参加者に向けて今後の課題の検討を呼びかけました。

 2日間のアルゼンチン滞在日程の中で、ライダー事務局長はアルベルト・フェルナンデス新大統領やクラウディオ・モロニ新労働大臣を始めとした政府関係者、労使団体代表を訪問しました。12月9日に行われた大統領との会談で、事務局長は、社会正義を伴った仕事の未来の構築に向けたILOの協力を約しました。

アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス新大統領を表敬訪問したガイ・ライダーILO事務局長

 記念式典開始前にブエノスアイレス自治市当局の代表や市会議員らと会談したライダー事務局長に対し、市からは貴賓待遇の宣言が行われました。返礼として、ILOアルゼンチン国別事務所のペドロ・アメリコ・フルタード・デ・オリベイラ所長から国内での社会正義とディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の推進に関連して市から受けた支援と公約に対する感謝の印として立法府の名を刻んだ記念プレートを送りました。

 ブエノスアイレス市内で開かれた記者会見においてライダー事務局長は、各地で見られる社会不安に関する質問を受け、これらの状況の共通の分母として「より一層の社会正義が求められていること」を挙げ、人々はより一層の正義と人間らしく働きがいのある仕事の機会を求めていると指摘しました。その上で、「最も重要な歴史はまだ書かれていない歴史、つまり、私たちが共に構築すべき未来」であるとして、ILOはそういった理由から創立100周年の今年を仕事の未来を探究する年に充てたことを説明し、仕事の未来社会対話委員会の設置など、この点でのアルゼンチンの活動を評価しました。

 ILOアルゼンチン国別事務所は、豊富な写真と共に同国におけるILOの50年の歴史をまとめた記念刊行物『Trabajar para el futuro: 50 años de la OIT en Argentina(未来に向けて働くILOのアルゼンチンにおける50年の記録・西語)』を発行しました。


 以上はブエノスアイレス発英文記者発表の抄訳です。