ILO創立100周年
ILOを南米に紹介:アルベール・トーマILO初代事務局長の長大な旅
ILOの100年の歴史を振り返る広報記事の第5弾として、日本から欧州まで約50日かかっていた時代に、ILOとの距離を縮めるために世界中の加盟国を精力的に回って歩いたアルベール・トーマILO初代事務局長の南米への旅を取り上げます。
アルベール・トーマILO初代事務局長は1928年には日本も訪れるなど、世界中の加盟国を精力的に訪れてILOとの距離を縮めるよう努力しました。1925年6月30日にはフランス南東部のマルセイユから遠洋定期汽船のアルシナ号に乗って、ILO創設メンバーであったブラジル、ウルグアイ、アルゼンチン、チリといった南米4カ国を巡る70日間の旅に出発しました。旅の目的は、創設メンバーでありながら遠方のジュネーブの会議にはあまり出席しなかったこの4カ国をもっと密接にILOの活動に関与させること、そして既に25本になっていた条約の批准を迫ることでした。
トーマ事務局長は政労使代表と会合をもち、これらの国の労働市場や労使団体の機能に大いに関心を示し、面談、会合、旅程、さらには景色やワインに関する感想までも含み、事細かに日記に記録しました。
「グロリア・ホテルの高みからリオデジャネイロの素晴らしい湾を望むことができます」。1925年7月15日の南米第一夜の記録にはそう書かれています。汽車でサンパウロに向かったトーマ事務局長の日記には、工業地帯や移民用宿泊施設に関する記載があります。