ILO創立100周年

今年はフィラデルフィア宣言採択75周年

記者発表 | 2019/05/10
「嵐の上を行くILO」のイラストをフィーラン事務局長代行(左)に見せるフランシス・パーキンス米国労働長官(1944年)

 75年前の1944年5月10日、米国フィラデルフィアで開かれたILO総会に参加した41カ国の代表は、ILOの社会的な使命に力強い新たな弾みを与える文書を全会一致で採択しました。

 当時、ILOの事務局は欧州の戦火を逃れてカナダのモントリオールに一時的に拠点を移していました。戦争の終結が視野に入ってきたため、創立時の諸原則を再確認し、それを新たな現実とより良い世界を求める願望に適応させる必要性を感じ、この理想を表現するものとして、「国際労働機関の目的に関する宣言」を採択することとしました。

 宣言の中心的な起草者であった当時のエドワード・フィーランILO事務局長代行は、宣言について、「25年前に憲章を起草した人々に捧げられる栄冠であり、その努力を確認するもの」、そして、「各国及び国際的な機関が、たとえどんな経済的な嵐に出会おうとも到達しなくてはならない目的地である人類共通の福祉の促進に向けて、これからはより確実に進路の舵を取っていける北極星を定めるもの」と評しています。

総会終了後、儀礼的な意味合いを込めて、ワシントンDCの大統領官邸において大統領の執務机で宣言に署名するフィーラン事務局長代行(中央署名者)と当時のフランクリン・D・ルーズベルト米国大統領(左端)

 採択地の名を取ってフィラデルフィア宣言と呼ばれるこの宣言は、全ての人にとっての人権の中心性を断言することによってILOの活動の幅を広げ、これを国家及び国際のあらゆる政策の中心目的とすべきと説き、ILOは「この根本目的に照らして経済的及び財政的の国際の政策及び措置をすべて」検討し且つ審議する必要があることを承認しています。フィラデルフィア宣言は、第2次世界大戦後の世界秩序の形成に寄与し、その秩序の枠内で各国の経済・財政面のあらゆる政策及び措置を導く原則を定めた先見の明のある文書の一つと見ることができます。宣言は1946年にILO憲章に附属され、その後も世界人権宣言など様々な国際文書に影響を与えてきました。宣言の基盤となっている原則は75年後の今も当時と同様に通用するものであり、次の世紀へと足を踏み入れようとしているILOに影響を与え続けています。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。