国際法会議

ILO100周年記念社会正義のための法国際会議を開催

記者発表 | 2019/04/18
会議模様

 第一次世界大戦を終結させたベルサイユ平和条約の一部として1919年に創設されて以来、ILOは主に労働・社会権の分野における包括的な国際条約体系を通じて国際法を、そしてその適用を監視する先駆的な仕組みを形作ってきました。ILO総会において政府、使用者、労働者の代表が採択した国際労働基準は条約189本、議定書6本、勧告205本に上ります。

 ILO法務顧問室が主催し、創立100周年を記念してジュネーブのILO本部で4月15日から開かれた「ILO100周年-社会正義のための法」と題する3日間の会議には、吾郷眞一立命館大学教授を始めとした条約勧告適用専門家委員会委員などのILO内の法律専門家、国際法委員会委員、法律実務に携わる他の国際機関の職員や学識者といった幅広い講演者が参加し、ILOに付託された社会正義の任務に照らし合わせ、国際機関に影響を与えている今日的な法律上の問題を理論と実務の両面から考察しました。法哲学、人権、国際公法、国際機関の法の四つの分野に焦点を当てて、ILOの基盤をなす価値と国際法の発展、実施から遵守へ:国際監視システムの過去と未来、一体となっての前進:モデルとしてのILOの三者構成原則、国際規範の影響力向上:進むべき道などをテーマとするパネル討議が行われました。ILOに付託された任務が多国間主義や国際法に与えた影響の検討、100年間に及ぶILOの基準設定活動とそれがより幅広い人権アジェンダにどう関連しているかの評価、多国間機関が現在直面している課題に照らし合わせて見た、規範を取り扱う国際機関の未来の検討などが行われました。

 グレッグ・バインズILO副事務局長は、会議で取り上げられたテーマは、国際法、国際機関、そして広く多国間システムに極めて関連していることを指摘した上で、「人間を中心に据えた価値、対話、実用主義への揺るぎない公約を特徴としたダイナミズム」というILO独特のダイナミズムを描き出すまたとない機会を提供した点で会議を評価しました。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。