ILOと日本、フィリピン・ミンダナオの水供給と雇用の確保、和平定着を目指す新プロジェクトを開始

ニュース記事 | 2019/03/07
ILO(国際労働機関)と日本政府は、フィリピンの元紛争地での水供給と衛生サービスの改善を通じて、雇用創出と和平の定着を目指す新たなパートナーシップ、「ミンダナオにおける和平の確立のための水道設備管理能力向上計画」の署名式を行いました。

プレスリリース|フィリピン・マニラ|2019年3月6日
© Community Eye Health

マニラ(ILOニュース)- ILOと日本政府は、バンサモロ・ムスリム・ミンダナオ自治地域(BARMM)におけるコミュニティに密着した水供給開発プロジェクトを実施します。

この3億円(約2.6百万米ドル)の無償資金協力プロジェクトは、紛争多発地域の貧困削減を目的としています。地元コミュニティの連携の下、水供給と公衆衛生のための設備の設計・建設・運営・維持管理を通じて、地域づくり、技能訓練、雇用創出、そしてよりよい労働環境の推進への貢献が期待されます。

カリド・ハッサンILOフィリピン事務所長は、「このプロジェクトは、平和の実現を目的として、帰還戦闘員、弱い立場にある若年層、先住民、そして紛争の影響で避難を強いられた女性と男性に対する支援を目指します。水は命であり、プロジェクトでは最も基本的なニーズのひとつである、安全な水の安定供給に焦点をあてます」と述べました。

潤沢な水源があるにもかかわらず、ムスリム・ミンダナオ自治地域(ARMM)の大多数の世帯では、安全な水へのアクセスが未だ不十分です。そのため、水媒介疾患の危険があるにもかかわらず、コミュニティの多くの貧しい家庭は危険な汚染水を使用しています。
2016年のフィリピン統計局のデータによれば、同地域での安全な水へのアクセスは53%の家庭に留まっており、全国平均の85%を下回っています。

ILOと日本が実施する新規プロジェクトでは、地元の労働力を用いた水供給・回収設備の建設を通じて、家庭消費と農業生産のための安全で安心な水供給の確保を目指します。

この実施期間1年のプロジェクトの経済活動によって、紛争の影響を受けた地域の1,800人を超える働き手と約12,000世帯が恩恵を受ける予定です。また、グリーン・ジョブを推進し当面の所得を提供することで、環境規準と自然保護の施策を取り入れます。
さらに、持続可能な開発目標(SDGs)、特に目標6「安全な水とトイレを世界中に」と目標8「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)も経済成長も」の達成に貢献します。

ILOは、開発から取り残された地域における雇用創出、生活水準の向上、技能の移転、そして生計手段を得る機会の確保に資する実践的な手法の開発と普及に長年、努めてきました。


社会正義の達成とディーセント・ワークの推進のためにたゆまぬ努力を行うILOは、今年創設100周年を迎えました。フィリピンのみならず、他の国々でも蓄積された長年の水供給インフラの開発経験が、今回のプロジェクトでは活用されます。

このプロジェクトは、日本政府がフィリピン技術教育技能開発庁(TESDA)、経済社会開発計画、国際連合食糧農業機関(FAO)、そして国連開発計画(UNDP)とともに実施する一連の和平と開発プロジェクトのひとつです。

日本はILO主要パートナーの一員として、特にアジア・太平洋地域において、社会正義とディーセント・ワークを推進してきました。開発分野での日本政府とILOとの協力関係は1974年から続く長いもので、フィリピンでも、災害支援、持続可能な生計手段、平和と安全保障、地域経済開発、社会的保護、人身取引などの多くのプロジェクトを支援してきました。

本件に関するお問い合わせは、以下の担当にお願いします。

Ma. Concepcion Sardaña
Senior Programme Officer
ILOフィリピン事務所
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sardana@ilo.org

Minette Rimando
Media and Public Information
ILOフィリピン事務所
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