国際移住者デー

2018年グローバル・メディアコンクール受賞作品発表:中東の移民家事労働者の記事など4点

記者発表 | 2018/12/18

 12月18日の国際移住者デーに際し、ILOは2018年労働力移動グローバル・メディアコンクールの各部門優勝者4人を発表しました。今年のコンクールでは、労働力移動と移民労働者の公正な人材募集・斡旋に焦点を当て、それぞれ報道部門とフォトエッセイ/マルチメディア部門を設け、計4点に賞を授与しました。

 72カ国から250点を超える応募があり、委員会による第一次審査と報道関係者など4人の審査員で構成される独立審査員団による最終選考を経て、以下の4点が優秀作品に選ばれました。

  • 労働力移動の報道部門-元国連人道問題調整事務所による報道ネットワークであり、現在は非営利団体としてジュネーブに本部を置き、人道危機について報道する総合地域情報ネットワーク(IRIN)のサラハ・ハイジ及びサスキア・フトゥインの両氏による「ブルキナファソの織工がどのようにして今は欧州の移住最前線に流れ着いたのか」と題する記事は、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の機会を地元に創出しようとの取り組みを含み、このサヘルの国における移住の様々な側面を伝えています。
  • 労働力移動のフォトエッセイ/マルチメディア部門-人間の尊厳とアイデンティティーに焦点を当てる物語風ジャーナリズムのオンライン・プラットフォーム「アングラル」に掲載されたミゲル・ロツ氏の「ソロモンの質問」と題するマルチメディア物語は、アルゼンチンで新たな生活を始めたナイジェリアの男性ソロモンの話を伝えるものとなっています。ソロモンは新しい国と言葉に適応するのに困難を感じつつも、目の前に開けた新たな機会を楽しんでいます。
  • 公正な人材募集・斡旋の報道部門-独立系オンライン・ニュースプラットフォームである「ニュース・ディープリー」の女性の前進部門に掲載された、ミーガン・クレメント氏編集、ソフィー・カズンズ氏他執筆の「湾岸地域の移民家事労働者は虐待から安全な時が来ようか」と題する記事は、湾岸諸国で働いていたときに虐待を受けた家事労働者らの悲惨な話を取り上げ、外国で採用された家事労働者の搾取を防止する取り組みを検討しています。
  • 公正な人材募集・斡旋のフォトエッセイ/マルチメディア部門-ノーマン・ザフラ氏のマルチメディア・プロジェクト「オブレロ(労働者)映像」は、ニュージーランドのクライストチャーチ市で2011年に発生した地震後に、同市の再建を手伝うために一時的に移住したフィリピンの建設労働者の一団を追跡したプロジェクトです。

 国際労働組合総連合(ITUC)、国際使用者連盟(IOE)、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)、国際ジャーナリスト連盟(IFJ)など複数の組織と共に、ILOが主催しているこのコンクールの目的は、労働力移動と公正な人材募集・斡旋に関するバランスのとれた談話と質の高い報道を促進することにあります。これは先般採択された「安全で秩序ある正規移住のためのグローバル・コンパクト」、とりわけその6番目の目標である「ディーセント・ワークを確保する条件を守り、公正で倫理的な人材募集・採用を円滑化する」という目標に特に関連しています。コンクールはまた、2016年に採択されたILOの「公正な人材募集・斡旋に関する一般原則及び運用指針」を促進するものでもあります。さらに、難民及び移民に対する外国人排斥風潮の高まりに対処し、非差別を促進することによって地球規模の行動を奨励する国連のTOGETHERキャンペーンに対する直接的な貢献でもあります。今年のコンクールはまた、ILOの公正な人材募集・斡旋イニシアチブの一環として、「労働力移動の募集・斡旋枠組み改善グローバル行動(REFRAME)プロジェクト」及び「公正人材斡旋・募集統合計画(FAIR)」の支援も受けています。

 ILO労働力移動部のミシェル・レイトン部長は、非常にしばしば否定的な観点からではあるものの、移民と難民の動きはマスコミを賑わせ続けていることを挙げ、「この労働力移動に関するグローバル・メディアコンクールは、移民労働者の労働者としての権利が保護され、公正な人材募集・斡旋原則が導入された場合の移住のプラスの影響力にも光を当てるバランスのとれた報道をILOが奨励する一つのやり方」と紹介しています。

 ILOはコンクール入賞作品の質は認めますが、そこに用いられている名称や用語、表明されている意見に対する責任は原著者のみが負い、ILOによるその再掲は支持を表すものではありません。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。