強制労働
ウズベキスタンの綿花畑における強制労働・児童労働の撤廃に向けて大きな進展

ウズベキスタンでは綿花収穫期に毎年、約260万人の摘み手が臨時労働に動員されるという世界最大の募集・採用活動が見られます。木綿栽培に割り当てられる土地は縮小してきたものの、この作物はいまだにとりわけ農村部の女性に貴重な収入源を提供しています。ILOはウズベキスタンの政府、使用者、労働組合との合意の下、2013年から木綿収穫における児童労働の発生を監視してきました。2015年には世界銀行との協定の一環として、監視対象に強制労働も加えられました。
2018年のモニタリングでは、現場の状況を把握するため、ILOの専門家らが国中で綿花摘み労働者その他収穫に携わった人々1万1,000人を予告なく単独で訪問して話を聞きました。モニタリングを終え、監視員らは強制労働がほとんどなくなっているのを見出しました。2018年の木綿収穫に携わった人の93%が任意参加者であり、かつて見られた学生・生徒、教員、医師、看護師の体系的な募集・採用はありませんでした。しかしながら、幾つかの場所では依然として国の機関や企業でスタッフの動員が行われており、本当は参加したくないものの使用者と問題を起こしたくないためにあるいは賃金や賞与が良くなったために収穫に参加したとの回答が得られました。かつては深刻な問題だった児童労働はもはや大きな懸念事項ではなくなっています。
ILO就労基本原則・権利部のベアテ・アンドレエス部長は、1年前の国連総会でミルジヨーエフ大統領がILO及び世界銀行と協働して収穫期の児童・強制労働を撤廃すると公約したことを挙げ、この政治公約に続いて実施された数々の募集・採用慣行の改革及び構造変革を経て行われた2018年の木綿収穫は「多くの点でウズベキスタンにとっての真のテスト」であったとして、これらの措置が機能しており、現場の人々が真の違いを感じられているとの観察結果がILOの監視員から報告されていることを明らかにしました。
今年のモニタリングでは、複数の現場面談、啓発活動、苦情や質問を受け付けるために政府が設けたホットラインを通じて集められた案件の検討に人権活動家が関与しました。モニタリングには政府の代表は関与しておらず、できるだけ高い完全無欠性を確保するために全地球測位システム(GPS)によって座標を無作為に生成し、ILOの専門家らが次の目的地に向かう直前に手渡されました。
改革の一環として、政府は賃金を引き上げ、摘み取る綿花が少なくなり条件が悪化する収穫期終期に向けて収穫量当たりの支払い単価が高くなるような差異化賃金表を導入しました。2018年には賃金構造がさらに洗練され、収穫量が少なく人口密度が低い地区での摘み取り希望者に褒賞を与えることによって流動性が奨励されました。

2018年に政府のホットラインが受け付けた苦情・質問件数は2,500件を超え、地元の市長や機関の長が労働者の権利侵害で解雇や降格、罰金などの懲戒処分を受けたケースもあります。
ウズベキスタンは国内での綿花加工を始め、繊維や被服の生産国としての地位を固めつつあります。アンドレエス部長は「製造業におけるフルタイムの人間らしく働きがいのある仕事の確立は、不公正な募集・採用行為を促進することが多い季節的な労働需要の高騰を減らす助けになるのは確実」と評して、このような展開を歓迎しています。そして、高い水準に固執し、国際的な最善の慣行を実行することによって国際的な衣料品会社が良い労働基準を促進する上で重要な役割を演じ得ることが多くの場所で目撃されてきたことを挙げ、「ウズベキスタンでもこれが起こらない理由はない」と語っています。さらに、「まだやるべきことは残っているものの、ウズベキスタンはその野心的な改革日程の次の段階を実施するに当たり、政府、投資家、被服・繊維産業、市民社会を含む国際社会による全面的な支援に値することを示しました。ILOはこのプロセスを円滑化する用意があります」と結びました。
ILOは2014年からウズベキスタンでディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現に向けて同国の包括的なディーセント・ワーク国別計画を実施しています。計画には、木綿産業に加え、雇用・募集採用政策、労働監督・労働行政、労働法、労働安全衛生、社会対話、労働組合及び使用者団体の強化といった項目が盛り込まれています。ILOの第三者モニタリング(TPM)プロジェクトの予算は、欧州連合、スイス、米国を中心とした複数ドナーによる信託基金から拠出されています。
以上はタシケント発英文記者発表の抄訳です。