男女平等

ジンバブエの伝統的な指導者がジェンダー活動家に

 ジンバブエで実施されているILOのある男女平等プロジェクトは、女性を経済・社会活動に関与させる利点を伝統的な指導者に理解させることに成功しました。

伝統的な指導者を務めるマダモンベ首長

 ガイ・ライダーILO事務局長は今年のILO総会に提出した事務局長報告で男女平等の問題を取り上げ、平等待遇を促進する様々な措置に最も強情に抵抗しているものとして、女性を二流の労働者と見る凝り固まったイメージのような体系的または構造的な障害を挙げました。ジンバブエで実施されているILOの男女平等プロジェクトは、田舎で重要な役割を演じている共同体の伝統的な男性指導者に、女性を経済・社会活動に関与させる利点に気づかせることに成功しました。

 ジンバブエの田舎では共同体を統治する伝統的な男性の指導者が、紛争解決や祖先から引き継がれてきた文化的な価値・規範の維持を確保する責任、土地を配分する権限も有しています。その影響力に鑑み、ILOのある男女平等プロジェクトは、こういった人々を特に対象とした研修を実施することに機会があると考えました。課題はこういった伝統的な指導者の大部分が、社会とは男性が支配するものとの考えを抱いていることでした。

 首都ハラレの北東約75キロのところに位置するムレワ地区第1区の伝統的な指導者を務めるマダモンベ首長によれば、共同体の女性は常に一つ低い階層に位置すると見なされ、男性に従うことが期待されていました。首長も女性は自分の言うことには何でも、質問などせずに従うべきとの考えを常に持っており、議論に参加する余地も与えていませんでした。

 しかし、男女平等国連合同計画の一環として、ILOが実施した研修に参加したことによってこの考え方に変化が生じました。研修では自信を付ける方法やリーダーシップ、生計手段や食の安全保障、事業開発に加え、男女平等、女性の権利、女性の労働条件、児童婚なども含む性と生殖に関わる健康、性差に基づく暴力や家庭内暴力、HIV(エイズウイルス)とエイズといった事項も取り上げられました。プロジェクトのより幅広い目標は女性の経済力の向上でしたが、その入り口として男女の役割に関する姿勢を変えるための研修を行う必要がありました。

 マダモンベ首長は最初、訓練参加自体をなかなか受け入れられませんでした。女性には経済活動を遂行できる能力が全く欠けていると固く信じる氏にとって、研修への参加は時間と資金の浪費に見えたのです。「女性と同じレベルまで引き下げようとしているように聞こえたので最初は研修を非常にきついと思いました」と首長は振り返ります。

 しかし、研修が進むにつれ、目的が全く違うことに気づきました。「この研修は自分が出来ることは女性にも出来るのだという事実の理解を助けるものであることに徐々に気づかされました」と首長は述懐します。その時点からマダモンベ首長は女性が家庭で行っている貢献に思いをいたすようになりました。「ほとんどの時間を男性は何もせずにぶらぶらしているか、町に出て地元のショッピングセンターで友達と遊んでいるかであるのに対し、女性は家で働いているか、薪を探しに出かけているか、家族を養う食料と引き換えられる農場における仕事を探しに行っていることに気づきました」。

 もう1人の研修参加者であるグツ地区の伝統的な指導者であるムガリワ・ゴネセさんも同じような態度の変化を経験しました。ゴネセさんも国連合同計画の菜園プロジェクトが実行されている土地の配分を担当していましたが、今では事業に女性が関与している状況を評価しています。「女性を巻き込んだことによって共同体に大きな変化がもたらされたと証言できます。この事業計画用に選ばれた女性たちはこの共同体で最も貧しい人々でしたが、今では家畜を買い、家やトイレを作り、子供の学費を払う余裕が出来ています」。

 ムレワ地区では、研修と、女性が今は菜園プロジェクトから生み出している収入のおかげで、女性に対する暴力を伴う事件が減って来たことにマダモンベ首長は気づきました。

 「最大の変化は多分、私自身の家庭です」とマダモンベ首長は告白します。「共同体に関する決定を下し、様々な事件を仲裁する立場から、今では妻の意見も聞き、真剣に検討してから決定に至っています」と語るマダモンベ首長は、仲間や民に男女平等の理念を説く地域の「男性擁護者」となりました。その後、共同体に割当制を導入したことから、今では女性が各種委員会の半分を構成し、性差に配慮した決定が確保されています。伝統的な指導者として議長を務める会合でも、男女平等の重要性について語る時間をとっています。また、ムレワ地区のジェンダー運営委員会の委員に就任し、ジェンダー活動家として地区の様々な組織と協働しています。

 ILOジンバブエ・ナミビア国別事務所のオポラン・フォロロ所長は「女性に対する態度に変化を生じさせようとするならば、ジェンダー関連の事業計画に男性を含むことが重要」と指摘します。「この事業計画が始まったときは最も凝り固まった男性の立場に取り組む必要がありました。このプロジェクトが男女不平等を広めている否定的な社会規範に草の根から取り組む入り口を広げてくれたのは喜ばしいことです。共同体の指揮を執っているマダモンベ首長のような方々には肯定的な変化しか見られません」とフォロロ所長は語っています。


 以上は2018年9月12日付のハラレ発英文広報記事の抄訳です。