第107回ILO総会

第107回ILO総会でトゥアデラ中央アフリカ共和国大統領が演説:平和を強化するカギを握るのは雇用

記者発表 | 2018/06/07
第107回ILO総会の仕事の世界サミットで演説する中央アフリカ共和国のトゥアデラ大統領(仏語)

 現在ジュネーブで開かれている第107回ILO総会の枠内で、6月7日に開かれた「仕事の世界サミット」で特別演説を行った中央アフリカ共和国のフォースタン・アーシャンジュ・トゥアデラ大統領は、「平和と強靱性のための雇用とディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」というサミットのテーマに沿って、長年の紛争で荒廃した中央アフリカ共和国の経済回復という課題に光を当て、「平和及び強靱性のための雇用及び適切な仕事勧告(第205号)」を実施するパイロット国として、特別の支援の提供をILOに要望しました。そして、首都バンギにILOのハイレベル技術ミッションを派遣し、統治能力の強化、機能する社会的保護制度の樹立、社会対話と女性の雇用の促進、雇用促進のための革新的なパートナーシップの整備など、雇用とディーセント・ワークにかかわる問題を解決する手助けを求めました。

 中央アフリカ共和国が直面している危機の深刻度を説明した上で、大統領は、貧困と過激化の危険とより良く闘うための優先事項として、「失業、とりわけ若者の失業の減少」を挙げ、自国の強靱性を強め、平和を強化するには、「富と所得を生み出す仕事の創出が必要不可欠」と強調しました。さらに、同国の経済活動の75%以上が今や非公式部門(インフォーマル・セクター)である現状に触れ、公式部門(フォーマル・セクター)を支配している生存のための経済について説明しました。

 現在進行中の和平プロセスについては、「我々は三重の課題に直面している」として、ビジネスのためのより良い経済条件と効率的な公共部門の回復、そして若者の訓練機会拡大に向けた努力に言及しました。さらに、「雇用は永続する平和の決定要素であり、社会の結束を構築するのに必須」と説き、「技能不足、失業、不完全就業に支えられて蔓延する貧困」を大きな課題に位置づけました。

 また、「中央アフリカ共和国における永続する平和に向けた道の一つ」は、「生産性を改善する手段並びに仕事及び富を創出する力を備えること」とし、平和と強靱性のための雇用とディーセント・ワークの促進に向けた闘いが中央アフリカ共和国では日々の課題であることを紹介し、「このような困難に直面しつつも、平和への途上にある障害を乗り越える決意がある」ことを強調しました。

 大統領を歓迎する挨拶で、ガイ・ライダーILO事務局長は、中央アフリカ共和国の戦略的な立地を強調した上で、「仕事と平和のつながりを認めることによって、人々が人並みの生活水準を達成する助けになるよう自国の民に仕事をもたらすこと」を主な優先事項としている同国の政策を評価しました。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。