中南米・カリブの若者の就労

中南米・カリブの若者に見られるディーセント・ワークの大きな不足に光を当てるILOセミナー

記者発表 | 2017/09/28
「児童労働の持続的な撤廃世界会議」の準備活動の一環として開かれたセミナー「何が有効な若者雇用政策か? 中南米と欧州の経験から得られた教訓」(ブエノスアイレス・2017年9月26日)

 アルゼンチンの首都ブエノスアイレスでは2017年11月14~16日に第4回児童労働世界会議として、「児童労働の持続的な撤廃世界会議」が開かれますが、この準備活動の一環として、9月26日に同市で開かれたセミナーでは、中南米・カリブでは5,000万人を超える若者が失業や非公式性、機会の欠如といった労働市場の課題に直面していることが明らかにされました。

 ILOと欧州連合(EU)の地域計画EUROsociAL+の枠内で開かれたセミナーには駐アルゼンチンEU代表部やアルゼンチン労働・雇用・社会保障大臣も参加しました。「何が有効な若者雇用政策か」と題し、中南米と欧州の経験から得られた教訓の交換を目的として開かれたセミナーでは、中南米・カリブでは15~24歳の若者人口1億800万人の半数強に当たる5,600万人に失業とインフォーマル(非公式)就労が広がり、地域におけるディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の創出を阻む大きな課題となっていることが示されました。

 労働市場に参加する若者の中で失業者は780万人(失業者全体の43%)を超えています。仕事のある4,830万人の中でも2,700万人がインフォーマルな仕事に従事し、社会保障の適用を受けていない若者も3,040万人に上ります。就学も就労もしていない若者も2,100万人余りを数えます。若者が直面する課題の規模に光を当てたギエルモ・デマILO若年者雇用専門官は若者の失業率はより年長の労働者の3倍近くに達することを指摘して、若者が労働市場で直面する障害はより年長の労働者よりも大きいことを説明しました。

 このような状況にもかかわらずILO中南米・カリブ総局から最近発表されたアンケート結果によれば、地域の若者は楽観的であり、若者の5人中3人が2030年の未来を信じているとされます。デマ専門官は、若者にとってのディーセント・ワークの課題は、既に労働市場で直面している問題に加え、仕事の世界の大幅な変化の結果として生じる問題の両方に対応すべきことを意味すると説いています。児童労働の持続的な撤廃世界会議では、若者に良質の雇用を創出する上での課題の分析と議論も行われます。

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 以上はブエノスアイレス発英文記者発表の抄訳です。