児童労働・強制労働

ウズベキスタンの綿花収穫におけるILOのモニタリング

記者発表 | 2017/06/27

 2017年6月27日に国際非政府組織(NGO)のヒューマン・ライツ・ウォッチとウズベク・ドイツ人権フォーラムから発表された報告書が、強制労働及び児童労働が関係する農業プロジェクトに対する世界銀行の融資を指摘していることに対し、世界銀行の要請を受けてウズベキスタン当局と合意の下で綿花収穫における第三者モニタリングを行っているILOは同日、モニタリングの内容を説明する記者発表を行いました。

 モニタリングはILOの監視員と労働組合役員がペアを組んで実施されます。組合役員はモニタリング作業が円滑に進むよう後方業務を支援します。モニタリングの場所や面談対象者はILOの監視員が決定します。全体的な評価はウズベキスタン当局や同国労使団体、世界銀行の干渉を受けずにILOが単独でまとめ、ILOの見解を代表します。評価内容にはウズベキスタンの政府及び労使団体に向けた勧告が含まれます。ILOは第三者モニタリングの最中及び前後にウズベキスタンの独立活動家らとも会合を持ち、その見解も考慮に入れます。ILOの活動はこれらの人々に歓迎されており、継続が希望されています。

 2014年10月に世界銀行との間で締結された覚書に基づき、ILOは2013年からウズベキスタンの綿花収穫における児童労働、2015年から強制労働のモニタリングを実施しています。2017年1月に世界銀行に提出された2016年のモニタリング報告は、綿花収穫における児童労働の終焉に向けた相当の進歩を歓迎しつつも、「とりわけ、脆弱な16~17歳層に関して監視を維持する必要性」を指摘しています。一方で、強制労働のリスクは認められ、最新のモニタリングでは強制労働のリスク軽減に向けて講じられた措置に焦点が当てられました。

 ILOは2014、15年に実施した、ウズベキスタンの綿花収穫における成人の募集及び季節労働に関する調査研究の結果を近い将来発表しますが、この調査では、綿花収穫労働者を自発的労働者、不本意労働者、非自発的労働者に分類し、高リスク集団に光を当てています。調査からは、啓発活動、より生産的でもある自発的労働者数増加に向けた労働条件改善、執行・是正措置の強化に向けた措置の組み合わせを通じて強制労働に終止符を打つことは可能であることが示されています。

 2014年には収穫労働者全体の60%、2015年には66%と、労働者の大多数は自発的に収穫作業に参加しており、不本意に参加している労働者(社会的な参加圧力を感じてはいるものの、実際に処罰の脅威にさらされたり、脅威を知覚したわけではない者)の割合は2014年(全体の29%)から2015年(全体の20%)にかけて減少していますが、主として収穫終期に向けた非自発的な労働者の増加が示されています(2014年11%→2015年14%)。

 元気づけられることとして、調査結果からは全面的な機械化に頼らなくとも収穫作業への非自発的な参加は全廃できる可能性が示されています。今後の収穫に参加する意欲を問う世帯調査からは、現状でも参加するとの回答が170万人から、報酬が上がれば参加するとの回答が115万人から、労働・生活条件が向上した場合に参加するとの回答が47万6,000人から寄せられていることから示されるように、この調査研究からは、賃金や労働条件の改善が自発的な労働力の大幅な増加を招く可能性の存在が推測されます。

 ILOはまた、児童・強制労働の持続可能な撤廃に向けた総合的な取り組みの要素である労働安全衛生や雇用、社会対話、社会的保護、強制労働・児童労働の撤廃などといった重要事項について、ウズベキスタンの政府及び労使団体の能力構築及び政策・法的枠組みの変更に向けて反児童労働・強制労働全国調整協議会と協働しています。このような活動は臨時的季節農作業に従事する労働者を含み、ウズベキスタンの労働者が就労に係わる基本的な原則と権利が尊重されたまともな条件の下で、自由意思で労働に従事するよう確保することを目指しています。

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 以上は英文記者発表の抄訳です。