2006年の海上の労働に関する条約

2006年の海上の労働に関する条約の2014年改正文書発効:船員及びその家族に遺棄、死亡、長期障害時の保護を新たに確保

記者発表 | 2017/01/18

 「2006年の海上の労働に関する条約」の規範部分の初の改正として、2014年の第103回ILO総会で承認された、船員の遺棄、死亡、長期障害時に船員本人及びその家族により良い保護を確保する改正が、条約の規定に従い、2017年1月18日に発効しました。

 この改正は、職業上の負傷、疾病、危険を原因とする船員の長期障害あるいは死亡時、そして遺棄の際に、船舶所有者が船員及びその家族への補償を確保できるよう金銭的な保証の仕組みを整備することを求めています。船舶は船上で働く船員を保護するこの仕組みが整備されていることを立証する証明書その他の証憑書類を船上に備えている必要があります。海上の労働に関する条約が発効している国に寄港する外国船は、寄港国の監督機関による遵守検査を受け、書類に不備があった場合には措置が講じられることになります。

 この新たな要件は、船舶所有者から遺棄されて港で長期間立ち往生し、賃金の支払いも受けられず、本国への帰還もかなわない船員の不運な状況を予防することになると期待されます。遺棄された船員はこれまでは、司法上の売却によって賃金などの未払い債務の弁済が行われるまで船舶を去りたがらない場合が多かったものの、今後はこの金銭的な保証の制度によって、そのような債務の弁済が速やかに行われることになります。同じように、業務上の理由による長期障害や死亡時に船員またはその家族に対して行われる未払い債務の弁済についても迅速化が期待されます。

 海上の労働に関する条約の批准国は現在81カ国に上りますが、日本やオランダなど4ヵ国が発効を1年遅らせることや改正に対する異議を表明しており、他にも数ヵ国から正式な受諾通知が提出されていません。

 2014年の改正は、ILOと国際海事機関(IMO)との間で設けられた船員の死亡、身体的負傷、遺棄に対する請求権に関する責任と保証についての合同特別専門家作業部会における10年近い議論を経てまとめられた後、2014年4月に開かれた海上の労働に関する条約に基づいて設置された特別三者委員会の第1回会合で採択され、同年6月の総会で承認されました。今回の改正作業とその発効は、遺棄や死亡、長期障害時に船員とその家族を保護するという即時の行動を要する問題が対処されたという点に加え、海上の労働に関する条約は船員や海運業界の切迫したニーズに応えるよう実効的に改正できるとの事実を示すものとなっています。

* * *

 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。