児童労働

ヨルダン調査:2007年比で児童労働者数は倍増

記者発表 | 2016/08/16

 2016年8月16日にアリ・ガザウィ労働大臣後援の下、首都アンマンで開かれた会合でその要旨が発表された最新の児童労働全国調査によれば、ヨルダンの児童労働者(5~17歳)数は前回調査が行われた2007年のほぼ2倍の6万9,000人超に達し、うち4万4,000人あまりが危険有害労働に従事していることが判明しました。

 米国労働省の任意資金協力によって進められているILOの「児童労働のないヨルダンへの移行プロジェクト」の支援を受けてヨルダン大学戦略研究センターが労働省及び統計局と協同で実施した調査は、ヨルダン最大のシリア人難民キャンプであるザアタリ・キャンプを含む12県すべてについて個別推計結果が得られるように設計された2万世帯以上の標本を対象に実施されました。ほとんどの子どもが商業(全体の29%)と農林漁業(同27%)に従事し、大半の労働時間は週平均33時間超です。最悪の形態の児童労働については危険有害労働従事者数しか測定されていませんが、粉塵・煙のような数々の危害に加え、心身への虐待にさらされていることが見出されています。

 ヨルダンには政府発表で130万人(公式登録者数は65万7,203人、今回調査の推定数は79万7,081人)に達するシリアからの難民が暮らしており、児童労働者の増加を含む影響を受入コミュニティーの労働市場や経済に与えています。今回の調査では、子どもの就業率がヨルダン人は1.75%、シリア以外の外国人は1.98%であるのに対し、シリア人は3.22%と際立って高いことに加え、就学率が最も低く、賃金もヨルダン人より低いことから、搾取に対する脆弱性がより高いことが示されています。

 「児童労働のないヨルダンへの移行プロジェクト」のインサフ・ニザム主任技術顧問は、すべての関係者の努力によって、難しい社会・経済環境にもかかわらず、児童労働者率を制御下に留めるある程度の好ましい結果が達成されていることを認めつつも、このような児童労働の増加に対する懸念を表明し、この調査データを用いて問題への取り組みがより効果的になることへの希望を述べています。ヨルダンは近年、児童労働に対する政策対応の強化に向けて大きな前進を示しています。2011年には労働、教育、社会開発の各省の児童労働に対する取り組みを統合し、ヨルダン全土でより効果的に児童労働者を特定し、適切なサービスを紹介することを目指して、全国的な児童労働対策枠組み(NFCL)が策定され、ILOもその実行を支援しています。ニザム主任技術顧問は、児童労働を大幅に削減するには、この政策枠組みの実行にもっと重点を置く必要があることが今回の調査から示されたと語っています。

 見出された結果や調査推計値のより詳しい情報、技術的な細目、調査票を含む報告書本体は、2016年9月にヨルダン大学戦略研究センターとILOから発表されます。

* * *

 以上はILOアラブ総局によるアンマン発英文記者発表の抄訳です。