ILO強制労働議定書
世界的な反強制労働運動にフランスが参画
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強制労働の被害者は世界全体で2,100万人に上ると見られ、この搾取から生み出される不正利潤は年間約1,500億ドルに達すると推定されます。強制的な性的搾取から債務奴隷、果てには人身取引や奴隷状態まで強制労働は多様な形態を取り、農業、漁業、家事労働、建設業、工業、鉱業など様々な産業に見られます。
この問題に対処するために2014年のILO総会で採択された、1930年の強制労働条約(第29号)を補足する議定書は、強制労働を防止し、被害者に保護を与え、司法・補償への道を開く実効性のある措置を講じることを批准国に求めています。
ILOは国際労働組合総連合(ITUC)及び国際使用者連盟(IOE)と共に、2018年までに少なくとも50カ国の強制労働議定書批准を達成するという批准促進活動として「自由のための50カ国(50 for Freedom)キャンペーン」を展開しています。2015年のILO総会に出席したフランソワ・オランド仏大統領は、会場に設置されていた同キャンペーンの展示パネルに署名して、議定書批准の意思を表明しましたが、ちょうど1年後の2016年6月7日にILOに批准書が寄託され、フランスは本議定書の6番目の批准国となりました。
批准書を受け取ったガイ・ライダーILO事務局長は、2000年から「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」の実行を支援する事業計画(PAMODEC)を支援してきたフランスによるこの批准を、「就労に係わる基本的な権利の促進・実行に向けた、変わらぬ公約のさらなる証明」として歓迎しました。フランスはあらゆる形態の強制労働の撲滅に向けて絶えず法機構の強化に努めてきました。2013年には人身取引撲滅のための全国計画を策定し、刑法を改正して強制労働と人身取引に加えて人の奴隷化や脆弱な人々を人間の尊厳を害するような労働条件に服させることを犯罪とする規定を盛り込みました。
批准書の寄託に当たり、ミリアム・エル・コムリ労働・雇用・職業訓練・社会対話大臣は、フランスが議定書採択からわずか2年後に6番目の批准国になったことを、「強制労働、とりわけ最も新しい形態の強制労働根絶に向けた戦いの前線に立ちたいとの望みを示すもの」と紹介し、「過去のものと考えられていたにもかかわらず、実際には世界中で2,000万人以上が影響を受けているこの慣行に直面して、もはや単なる傍観者でいることはできない」と訴えて、「現代世界の現実に基準設定の仕組みを適応させるILOの能力を示すこの議定書」の批准を通して、国際労働基準に対するフランスの強い公約を改めて表明したいとの希望を示しました。
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